NEWS紹介

2008年10月 1日 (水)

麻生首相、「大東亜戦争」と呼称。小泉・安倍内閣より着々準備か?

朝日新聞によれば、麻生首相が「大東亜戦争」との呼称を使用したそうです。

麻生首相、「大東亜戦争」と表現 戦争観問われ

2008年10月1日2時21分

 麻生首相は30日、首相官邸で記者団から過去の戦争観を問われ、「日清、日露(戦争)と、いわゆる大東亜戦争、第2次世界大戦とは少し種類が違うと思う」と語った。首相は「明治憲法以来約120年。時代を振り返って、日本の歴史として誇れる歴史もあれば、誇れない歴史もある」との考えを示した。

 「大東亜戦争」は当時の政府が決めた正式呼称だが、戦後、GHQ(連合国軍総司令部)が公文書での使用を禁止。教科書では「太平洋戦争」「第2次世界大戦」の呼び名が一般的になっている。

 河村官房長官は30日の記者会見で「首相は吉田茂元総理の薫陶を子どものころから受けており、教育勅語をそらんじることができる我々同じ世代の唯一の国会議員だ。第2次世界大戦を当時の大人たちが大東亜戦争と表現していた。そういうことかなと思う」と語った。

この問題は河村官房長官が誤魔化しているように「そういう教育をうけたから」という問題では済ませられない事態であることを知らなくてはなりません。最近強行された「学校で靖国神社を見学しても良い」という通達と並行するように、小泉・安倍内閣で着々とすすめられた段階的な「大東亜史観回帰」主義であると言わざるを得ません。

詳しくは以下の当ブログの過去の記事をご覧頂きたいと思います。

▼2007年6月24日付:「大東亜戦争」呼称についての疑問

▼2007年6月24日付:「大東亜戦争」呼称についての疑問②-呼称論争

▼2008年3月20日付:2008年3月例会:北鎮記念館見学会

P3090061copy ■北鎮記念館の展示パネル

この問題は今後も考えていきたいと思います。読者のみなさんからの情報提供、ご意見も受け付けています。とくに公的機関での「大東亜戦争」呼称事例などお寄せください。

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2008年9月26日 (金)

中山成彬国土交通相が「日本は…単一民族」とアイヌ民族無視の暴言

内閣成立早々、閣僚の問題発言がありました。以下は北海道新聞(紙面では9月26日付)から。

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国交相、成田反対闘争は「ごね得」 日本は単一民族発言も(09/25 22:36)

 中山成彬国土交通相は25日、共同通信社など報道各社とのインタビューで、成田空港建設への反対闘争について「ごね得というか、戦後教育が悪かったと思う」と批判。外国人観光客の誘致策に関連しては「日本は随分内向きな、単一民族といいますかね、あんまり世界と(交流が)ないので内向きになりがち」と発言した。

 さらに大分県の教員汚職事件にも言及し、日本教職員組合(日教組)と絡め「大分県教委の体たらくなんて日教組(が原因)ですよ。日教組の子供なんて成績が悪くても先生になるのですよ。だから大分県の学力は低いんだよ」と話した。しかし数時間後の同日夜になり、いずれの発言も「誤解を招く表現であったので撤回します」とのコメントを発表した。

 成田空港は2010年春に、2500メートルに延伸する2本目の滑走路が供用される予定。供用に向け、国が地元自治体や住民と騒音対策や公共施設整備など地域振興策の話し合いを進める中での新しい所管大臣の発言だけに波紋を広げそうだ。

http://www.hokkaido-np.co.jp/news/politics/119819.html?_nva=14

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日本がアイヌ民族や琉球の民族など他民族・多言語で構成された国であることを(意図的に)無視する「単一民族国家」発言は、遡れば1986年中曽根康弘首相(当時)の「日本は単一国家」発言がありますが、現首相の麻生太郎氏も総務相在任中の2005年、九州国立博物館(福岡)の開館記念式典の祝辞で「(日本は)一国家、一文明、一言語、一文化、一民族」と発言しています。

すでに国会では6月6日に全会一致(!)でアイヌの人々を先住民族とする国会決議が採択され、政府の下に有識者懇談会が設置されているいま閣僚からこのような発言が飛び出すのは閣僚としての素養が無いとしか思えません。

撤回だけでなく、すべてのアイヌ民族への謝罪を求めます。

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2008年8月25日 (月)

自衛官の「いじめ」自殺:初の国側責任認める判決

以下は8月25日付け毎日webからのニュース。

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〈自衛官自殺〉いじめ認定、原告側が逆転勝訴 福岡高裁

8月25日13時40分配信 毎日新聞

 海上自衛隊佐世保基地(長崎県佐世保市)の護衛艦「さわぎり」内で自殺した3曹(当時21歳)の両親=宮崎市=が「自殺は隊内のいじめが原因」と、国に2000万円の慰謝料などを求めた訴訟で、福岡高裁は25日、請求を棄却した1審・長崎地裁佐世保支部判決(05年6月)を変更し、国に計350万円の支払いを命じた。原告側の逆転勝訴となった。

 判決で牧弘二裁判長は、直属の上官が3曹を侮辱するような言動を自殺前の約2カ月にわたって繰り返した事実を認定したうえで「上官らの言動は違法で、自殺との因果関係がある」と述べた。父親に150万円、母親に200万円の賠償を認定した。自衛官の自殺を巡る訴訟で国の責任を認めた司法判断は初めて。

 1審判決によると、3曹は99年3月に同艦に配属され、同年11月8日、訓練航海中の艦内で首をつり自殺した。海自佐世保地方総監部は00年5月、「いじめはなかった」とする調査報告書を公表。両親は01年、調査結果を不服として提訴に踏み切った。

 1審判決は、上官らの「仕事ができんくせに3曹とか言うな」などの発言を不適切としながらも「いじめとは評価されず、指導・教育として、社会的に相当な範囲を逸脱するものだったとは言えない」と判断した。また、3曹が自殺当時にうつ病を患っていたと認める一方で「上官らが正常時の3曹の様子と比べても変化を認識することは困難。安全配慮義務違反があったとは言えない」と結論づけた。

 控訴審では、両親側が1審で任意提出を求め、国側が拒否した勤務調査表や指導記録などの一部文書を提出するよう命じた。国側は3曹の自殺について1審同様、「いじめが原因ではなく、自分の技能習得度が伸びず苦悩したため」と主張した。

 自衛官の自殺を巡る同種訴訟は横浜地裁や静岡地裁浜松支部で係争中。【松本光央】

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ここ数年、年間100名を超える在職自殺者がでている自衛隊。その自殺率は一般職国家公務員と比べても、一般17.1%に対して自衛官38.6%と(2005年度)、倍以上の高い率で発生しています。その原因は様々とされていますが、自殺した自衛官の周辺・背景は組織(防衛省・自衛隊)によって徹底して隠蔽されるといわれており、率直なところわかっていません。本件裁判でも防衛省が「技能習得度が伸びず苦悩」と説明しているのに対して、いじめが認定されたことからも明らかです。

自衛隊の場合、極度のストレスと暴力的肯定的な基本スタイル、階級社会(または経験主義社会)により弱い立場の自衛官がストレスの集中点になりやすいのではないかと、私たちもまた警告してきました。

これらは任務内容にも影響されると思われ、『週刊金曜日』8月8日・15日合併(714)号によれば、暴行を原因とした懲戒処分で全国ワースト1は旭川駐屯地だそうです(P82)。掲載データによれば2007年度の懲戒処分のうち暴行によるものが部隊内60件、部隊外24件あり、うち旭川駐屯地関係は以下のものがあります。

・2007.7.23/第2通信大隊/士長:23歳/部隊内/停職3日

・2007.10.3/第2特科連隊第1大隊/士長:20歳/部隊内/停職1日

・2007.10.3/第2特科連隊第1大隊/1士:22歳/部隊内/停職1日

・2007.10.17/第26普通科連隊(※)/2曹:34歳/部隊外/停職6日

・2007.11.6/第2師団司令部付隊/曹長:49歳/部隊外/停職10日

上記日付は公表年月日。ただし、10.17公表の第26普通科連隊2曹のケースは留萌駐屯地の部隊ですし、手元の報道記事でも留萌駐屯地所属隊員として報じられています(当ブログ2007.9.26記事参照)。ですから、旭川駐屯地在籍隊員暴行事件が5件だとワースト2位の板妻駐屯地(4件)を超えてワースト1ですが、情報を正確にすれば同数1位となります。それでも板妻は2事件4名であるのに対し、旭川は10.17公表事件を除いても3事件4名で発生数はワースト1間違いないです。

余談ながら、部隊外事件の後者2事件のうち10.17公表の事件は9月24日発生、25日新聞報道済みの事件、11.6公表の事件は9月23日発生、24日新聞報道済みの事件です。それぞれ処分決定までにそれだけの日数がかかっているようです。前者は停職6日に対して後者は停職10日。何が違うかは不明。

部隊内での2007.7.23公表事件が1週間の怪我を負わせ停職3日に対して、部隊外2007.10.17公表事件も1週間の怪我に対して停職6日。暴行の理由が加味されたのでしょうが、暴行の結果は同じに対し部隊外が重く処分されています。部隊内の事件は「指導」との線引きを曖昧にしやすく、「行き過ぎた指導」ということだと処分にも手心が加わるのではないかと推察します。それらは後で紹介する三宅勝久『自衛隊員が死んでいく』でも詳しく検証されています。

なお旭川駐屯地以外の第2師団関係の事例も以下に紹介します。

・2008.2.18/第4特科群(上富良野)/2曹:44歳/部隊内/停職18日

・2007.6.18/第2特科連隊(名寄)/2曹:36歳/部隊外/停職30日

第4特科群の事件は興味深いです。酒席とはいえ指導内容にからみ中隊長(上司)に暴行しています。部隊内の全暴行事件をみても上司への事件は2件のみ。上司への暴行をを容認するわけではありませんが、他すべての事件が後輩や少なくとも同僚など立場の弱いものへの暴行である一方で、中隊長といえば3等陸佐や1等陸尉など士官クラスが務める要職。それだけに上司への暴行事件は2件とも、他の事件より処分内容が重いように見受けられます。

第2師団は第一次イラク復興支援群の中心を担って以降も2007年度ではC4I2部隊実験を担うIT化実験師団として全陸自の先頭にたたねばならず、長期の演習も頻繁に行われていたそうです。そこでのストレスが結果、下のものに向かうとしたら辛いのは現場の隊員ではないでしょうか。

自衛隊は軍隊ではない。隊員の皆さんが守ると宣誓する日本国憲法の規定に基づきそのように考えるならば、「軍隊に暴力(私的制裁)はつきもの」と投げ出さず、組織のあり方に透明性を確保すべきですし、第3者による独立したチェック機関が必要ではないでしょうか。

この問題は今後も継続して追いかけます。

自衛隊員が死んでいく―“自殺事故”多発地帯からの報告 Book 自衛隊員が死んでいく―“自殺事故”多発地帯からの報告

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2008年8月 7日 (木)

新第2師団長の就任会見

先日ご紹介した陸上自衛隊第2師団の佐藤新師団長が就任会見を開いたそうです。以下は北海道新聞の記事。

P8060002

記事でわかったことは幾つかあります。第一に佐藤師団長は歌志内出身の道産子であること。道産子にとって旧七師団の「後継」ともいわれる第2師団を「統率」することは記事以上に「誇り」「名誉」なのかもしれないと思います。第二に地元財界から定数削減が懸念されている上富良野駐屯地について削減反対の意向で意見具申していくらしい、ということです。こればかりは上層部の判断で決まることでしょうが、現場指揮官の意見も聞かれるとは思いますし。

後日詳報しますが、新年度のC4I2部隊実験は再び第2師団と新たに第6師団の一部を含めて実施されることになったそうです。すでに7月中旬、第1回目の演習が上富良野演習場で行われたそうです。その内容は今後「朝雲」や「北鎮」紙上で明らかになるでしょうが、そのためか部隊移動も頻繁に行われ、師団所属の自衛隊車両がよく行き来しています。そういう場面での師団長交代ともなれば、陸上開発官に転任した前師団長との関係上、かなり頑張られることと推察しますが、「誇り」を思うばかりに住民生活が置き去りにならないよう、住民生活への配慮を期待させていただきます。

ちなみに余談となりますが、ここ数日は北方転地演習の参加部隊が帰り道らしく、私がみただけでも第3師団所属の「第3後方支援連隊」や「第3通信大隊」の車両が列を成して駐屯地付近をウロウロしています。札幌から旭川に車で来た人によれば、「国道を自衛隊車両が40台も50台も車列で走ってて異様で怖くって仕方ない」とのことでした。そうやって演習をされるのは自衛隊の勝手かもしれませんが、住民がうける影響(騒音・振動・違和感等々)を考慮して欲しいものです。

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2008年8月 2日 (土)

陸上自衛隊第2師団長が交代

昨日とどいた自衛隊準機関紙「朝雲」によれば、8月1日付で全国的に将・将補・1佐クラスの定例異動があり、第2師団長が交代したそうです。旭川に師団本部を置く第2師団長の交代くらいは当ブログでもカバーしておこうと思います。

新任の第2師団長は佐藤修一氏。

P80200021  P8020005

これまで中国地方の第13旅団長を務めていた方で、陸将補から7月31日付で陸将に昇進したばかりです。以下、略歴。

P8020001

これまで第2師団長だった師岡陸将は技術研究本部の陸上担当開発官だそうです。これがどういう意味を持った異動なのかは、今後深めてゆきたいです。

P8020002 ■左側一番下

それにしてもIT化実験師団のトップだった師岡氏が陸上担当開発官という異動は、単純に考えれば第2師団で行った実験をもとに全師団・旅団に普及するという役割があるように思えます。

それにしても、もうブログで書いてよいでしょうが、師岡前師団長は普通の団地のような自衛隊官舎に住んでいたんですよね。官舎前に出迎えの☆☆☆付ジープが来ていたのを、時々見ました。近隣の住人(自衛官)にとっては神経が擦り減るのでは?と可愛そうにも思いましたが、官舎住まいの師団長というのは庶民的な印象もありました。単身赴任だったのでしょうかね?いづれにしても、お疲れ様でした。

ところで、この記事が掲載された「朝雲」7月31日号に興味深いデータが掲載されていました。

P8020001_2

「隊員愛読書ベスト5」というコーナー、いつも掲載されていますが「防大」や「防衛省」のベスト5に自衛隊に批判的な書籍が入るのはあまり無いことです。ところが今回、赤線部のように「防衛省」の3位に三宅勝久『自衛隊員が死んでいく』がランクインしているのです。

これは単に「何が書いてあるか気になる」というレベルでは無く、実際に自衛隊内での「いじめ」「セクハラ」「パワハラ」等の様々な問題について深刻な状況にあることの表れではないかと思います。

佐藤新2師団長がこれらの諸問題にどう挑み、隊員の刑法犯罪等の発生抑制に成果をあげることができるか否か。船出は課題が山積です。

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2008年7月19日 (土)

背景に「いじめ」はないのか?―小銃誤射事件

こういう結論が報道されるとは思ってもいませんでした。以下、7月19日付のヤフーニュース(産経新聞配信)から転載。

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「終了時実弾撃つ」冗談信じ発砲 逮捕の陸士長「実直でまじめな性格」あだ?

7月19日8時3分配信 産経新聞

 陸上自衛隊福知山駐屯地(京都府福知山市)で6月、敷地内の弾薬庫警備に当たっていた陸士長(24)が小銃の実弾3発を無断で発射する事件があり、陸士長は「任務終了時に実弾を撃つことになっている」との他の隊員の“冗談”を信じて撃った可能性があることが18日、分かった。陸自幹部は「言う方も言う方だが、信じる方も信じる方。考えられない事態」と戸惑っている。

 陸自によると、6月5日午後7時半ごろ、警備中だった第3師団第7普通科連隊所属の陸士長が突然実弾を装填(そうてん)し、地面に向けて1発、空に向けて2発発射した。負傷者や施設への被害はなかったが、陸士長は自衛隊法違反(武器の不正使用)容疑で陸自警務隊に逮捕された。

 当初、陸士長は「誤って撃ってしまった」と供述。その後の調べで、陸士長が事件前に弾薬庫警備の任務についたのは1度だけで、他の隊員から「任務の終了時には実弾を発射して、弾倉を空にすることになっている」と聞かされていたことが判明した。

 陸自は引き続き詳しい経緯を調べているが、幹部の一人は「陸士長は本当に実直でまじめな性格との報告を受けており、冗談が事実とすれば発言者の処分も考慮しなければならないだろう」と頭を抱えている。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080719-00000051-san-soci

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この事件は起きた当初から注目していました。

Kc330295 ■新聞報道

いったい何が原因なのか?何が隠されているのか?と思っていたら、同僚(なのか、上司なのか不明。階級同じでも先輩だと立場は上ですし)の「冗談」を真に受けたとのこと。確かに幹部のコメントのとおり、「言うほうも言うほうだが、信じるほうも信じるほう」だと思います。

ですがこの報道を読んでなにかスッキリしないものを感じています。というのは自衛隊の上下関係や弱肉強食的な力関係からすれば、そういう「冗談」を信じさせて、その結果当該陸士長の立場を窮させるために追い込んだのだとすれば、それは「いじめ」ではないか?と思うのです。そういう悪質な「いじめ」が横行していることは、先日より紹介している下記の本でもよくわかります。

自衛隊2500日失望記 Days of Truth and Falsehood (Kobunsha Paperbacks 117) (Kobunsha Paperbacks 117) Book 自衛隊2500日失望記 Days of Truth and Falsehood (Kobunsha Paperbacks 117) (Kobunsha Paperbacks 117)

著者:須賀 雅則
販売元:光文社
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この本では、それらいじめが起きたのは「職務に対する情熱の欠如」だからだ(同書P49)と総括され、そのことを理解し「目頭が熱くな」る様(同書P49)まで書かれていますが、そんな単純とも思えません。実際、利権を貪る上司に抗している著者に対して、その上司からの陰湿な「いじめ」や「嫌がらせ」は続いていました。そういう意味でも原因は何であれ、強い立場のものからの「いじめ」は手を変え品を変え行われているわけです。今事例がその一端であっても驚くものでもないのかもしれません。

著者の須賀氏は「軍隊であれば、イジメ、暴力、精神病の発生率が他に比べて高いのは、古今東西を通じて共通するところ」(同書P35)とし、「イジメは自衛隊のどの部隊であれ程度の大小を問わず存在する」(同書P35)と言い切り、さらに「軍隊である以上、イジメ根絶は不可能」(同書P35.36)とまで言っています。

それは精神的にも肉体的にも「鍛える」のだと反論があるのかもしれません。まさに死と隣り合わせの軍隊ではそうなのかもしれません(そのこと自体への疑問は置いておきます)。ですが曲りなりにも看板は「専守防衛」の自衛隊さんでしょ。イジメ根絶をしようと、建前であろうと省を挙げて取り組もうというのでしょう。これはもっと体質的なところにメスをいれないとダメなのではないかと思います。

軍隊特有の上下関係、相手を従属させることの優越性、そういった組織のあり方の結果に強度のストレス蓄積があります。そしてストレスの延長戦の上に「飲む打つ買う」があり「パワハラ・セクハラ」があり、挙句の果てに「窃盗」や「横領」など犯罪行為があるのではないかと推察します。以前読んだ『自衛隊裏物語』のなかで著者の後藤氏は、自衛官の犯罪については自衛隊のあり方と結びつけるべきでない旨の記述をされていますが、そうではないと思います。自衛隊のあり方自体に問題があり、それを原因として犯罪が多発しているわけです。

自衛隊裏物語-みんなの知らない国防組織の真実 Book 自衛隊裏物語-みんなの知らない国防組織の真実

著者:後藤一信
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そういう自衛隊および自衛官の荒れた状況に対して、前述後藤氏は女性が少ないことに関連して読者に「愛の手を」と呼びかけているが、これは完全に現状追従であって問題外です。須賀氏は氏なりの日本防衛の思いから防衛利権の問題を氏の体験から告発・追及されています。これは実に大事だと思いますが、一方で前述の通り「イジメ」に対しては「必要悪」といった見方をされています。やはり自衛隊の今の枠組みのなかからこれらの諸問題を眺めていれば、こういう結論にしか行き着かないのではないでしょうか。

いま求められているのは、そういう人権無視の軍事組織が市民のとなりに「いる」のであり、そこで働く多くの良心的な隊員もまた「被害」に接していることではないかということです。それを受認しなくてはならないほど、日本の外交関係は悪化しているのか?そしてまた、それを改善させる外交力をもっていないのか?ということも問われなければなりません。

本当に国を守りたいと真面目な自衛官が自殺したり退職強要されたり精神を病むような状況は、無くさなければなりません。そのことは日本の民主主義の前進に必ず役立つと信じています。

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2008年6月30日 (月)

名寄駐屯地所属の防衛省職員が酒気帯び運転で逮捕

「飲む打つ買うくらい認めてほしい」と公言する自衛隊OBさんがいます。

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自衛隊の「存在意義はますます高まっている」のに、いまの自衛隊は自分の利益ばかり考える「利敵行為」ばかりでダメだ、と実態を告発されている須賀さん。立場こそ違えど、そのような税金横取りのような防衛企業との癒着構図は私どもも同じ立場。そういう意味ではぜひ一読したい本ではあります。

しかしながら自衛隊のいじめ体質や非合理な上下関係の弊害を告発する一方、「飲む打つ(パチンコ)買う」は「仕方ない」と軍隊組織の根本的問題点にはメスを入れられないのは自衛隊=軍隊へのそもそもの立場の違いからだと思います。それでも須賀氏、犯罪は「ダメ」とおっしゃっている。山田などは「飲む打つ買う」を奨励し犯罪の線の手前で立ち止まりなさい、と言っても駆け足でその方向に向かう自衛官(または防衛事務官)たちがいろんな意味で立ち止まれないでいる、というのが現状ではないかと思います。もっとメスをいれる根本は、別の場所にあるのではないでしょうか。

第2師団エリアでまたもや防衛省関係者の逮捕事件がありました。今度は「飲む」が要因です。以下、記事をご紹介します。

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酒気帯び運転、防衛省職員逮捕/北海道

20080629 酒気帯び状態で車を運転したとして、北海道警稚内署は28日、道交法違反(酒気帯び運転)の現行犯で、自衛隊名寄駐屯地業務隊稚内管理班所属の防衛省職員●●●●容疑者(24)=稚内市恵比須=を逮捕しました。酒を飲んだことを認めているといいます。

調べでは、●●容疑者は28日午前1時50分ごろ、稚内市の道道を乗用車で走行中、ハンドル操作を誤って道路左側の電柱に衝突。車は横転しました。通りかかったタクシーの運転手が通報し、駆けつけた同署員が飲酒検査をしたところ、同容疑者の呼気から1リットル当たり0.15ミリグラム以上のアルコールが検出されました。

(赤旗2008.06.29)

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この他、2師団関係でなかったので逐一紹介はしていませんが、最近の自衛官の不祥事事件のうち気になるものがいくつか出ています。

Kc330289 ■防衛医大生が強盗教唆

Kc330294 ■警備隊員が小銃3発発射

これらの報道は6月上旬に立て続けにあったのですが、一方は防衛医大生という自衛隊の衛生部門を担う幹部候補になりうる人物(なにせ卒業後、自衛隊に任官しないと違約金5000万円だそうです)が、強盗を教唆し早稲田大生に貴金属店を襲わせたというのです。また一方の誤(?)射事件は自衛隊福知山駐屯地で、弾薬庫の警備隊員が突如持っていた89式小銃を発射。3発のうち1発を空に、2発を地面に撃ったというのです。

背景にどういう問題があったのか、その再発防止のため防衛省はどういう分析をしているのか、現在のところ公式サイトでの発表は無いようなのでわかりません。

それにしても小銃を発射したというのは、最悪の場合死傷者が出る恐れもあったわけで、見過ごすわけには行きません。以前、演習中に小銃をもったまま行方不明になった事例がありましたが、それは弾薬をもっていなかったので事なきを得ました。しかし、いわゆる「告発本」等によれば員数外のカラ薬莢を出すことにより薬莢不足を誤魔化すことが可能だとか。それが可能なら意図すれば実弾を非公然化することも可能ではないか、と思うのです。制度的な問題もあるでしょうが、そういう意図を生じざるを得ない背景には何があるのか?自衛官・防衛事務官の現状にもっと迫らなければならないと考えています。

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本記事で当ブログは記事100本となりました。これまでのご注目ご支援、ありがとうございました。旭川平和委員会ブログは一層庶民目線でがんばりたいと思いますので市民道民のみなさまのご意見ご声援をお寄せください。

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2008年6月12日 (木)

陸自第2師団が保安林を違法伐採/上富良野演習場

今朝(2008年6月12日)付の北海道新聞朝刊から、以下ご紹介します。

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P6120001 保安林198本違法伐採 陸自第2師団 上富良野演習場で(06/12 07:15)
【旭川】陸上自衛隊第二師団(司令部・旭川)は十一日、同師団第二通信大隊(旭川)が昨年秋、上富良野演習場(上川管内上富良野町など)の保安林内で、森林法に違反して立木百九十八本を無許可で伐採するなどしていた、と発表した。
訓練スペースをつくるためで、許可が必要な場所とは認識していなかったという。上川支庁は同日、「誠に遺憾だ」として、森林法に基づき、師岡英行師団長に厳重注意した。
同師団によると、第二通信大隊は昨年九月から十一月にかけ、演習場内の水源かん養保安林で、通信基地を設ける訓練のため、約千百平方メートルでシラカバなどの立木を伐採。中継機器を載せた車両を止める場所確保のため、保安林内の林道跡地の約四百三十平方メートルに砂利を敷いたという。
森林法によると、保安林内での「土地の形質の変更」には、道知事の許可が必要だが、同大隊は現場が保安林と認識していなかったという。違法伐採などは今年五月、演習場を管理する上富良野駐屯地業務隊が見回り点検で発見。同師団は「自衛隊が関係法令を順守するのは当然なのに、大変申し訳ない。道と協議して(砂利の撤去など)適切な措置を図るとともに再発防止に努める」と謝罪している。

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この記事、深くは触れていませんので推測でしかありませんが、違法伐採した9月から11月といえば第2師団と防衛省技術研究本部が合同で第1回C4I2部隊実験を上富良野演習場で行った時期(10月13日~26日)の前後です。この実験と関わりはないのでしょうか。

P6120001_2 ■第2師団広報紙「北鎮」

331 ■第2通信大隊サイトより

第2通信大隊のウェブサイトをみると、上のような写真がありました。この写真が違法伐採現場では無いでしょうが、このように通信設備を設置するために「邪魔なものは切れ」ということではないでしょうか。とりわけ技研との共同実験でしたから彼らにとって成功させることの重要度は大きかったはずで、その「目的」のために「手段」を精査することを怠ったのではないかと思います。

また同師団は「秋季演習場整備」として10月30日から11月7日まで上富良野演習場等の整備を行っています。この際の重点目標は「演習場全体の排水、訓練施設等、恒久的(残る、使いやすい)整備の追求に着意し延べ1万2千人に及ぶ本整備作業参加隊員の努力により計画していた全ての整備を完成」(「北鎮」2007年11月号)となっており、使いやすさの追求として砂利が敷かれていても不思議ではありません。

上富良野演習場については、現在国立公園普通地域への拡張問題を提起しているところであり、仮に意図せずとも国立公園部分の違法伐採などが今後起きないよう法令順守を一層求めたいと思います。記事中で師団が謝罪しているように、自衛隊だからこそ厳密な法令順守が期待されています。

今回、内部の点検により事実が明らかとなり公表されたことは評価しますが、違法伐採が行われてから半年以上経過しての発覚は遅いのではないでしょうか。できれば先に述べた「秋季演習場整備」で、遅くとも今年の「春季演習場整備」の際に発見・公表していてもよかったと思います。6月11日という発表が第2師団創立記念行事の直後であることであれこれ考えることはありますが、今週末(6月15日)の上富良野駐屯地開設記念行事より前であったことは発表時期になんらかの意図は無かった(単に発見が遅れた)ことかとも推測できます。

いづれにしても第2師団は今回の発表だけで事を終わらせず、2通大隊と駐屯地業務隊との連携不足等事実関係をよく明らかにし、再発防止策とともに公開してください。

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2008年5月29日 (木)

政教分離問題「要望書」、市長回答は今日発送。報道が先行?

護国神社参拝、上川神社神輿巡行・自衛隊車両派遣要請の問題で旭川市長宛に提出していた「要望書」について、昨日市役所の広報公聴から電話がありまして「29日に回答を郵便発送します」とのことでした。これを待って議論をすすめたいと思うのですが、今朝(5月29日付)北海道新聞・旭川上川のページに下のような記事が掲載されました。新聞というのは速報性を売り物にしているのでしょうが、当事者が回答を受け取るより紙面で概要を知るというのはいかがなものでしょうか。

P5290003

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2008年5月27日 (火)

「要望書」提出を北海道新聞が報道

昨日(2008年5月26日)旭川市長宛に提出した政教分離問題での「要望書」ですが、市政記者室にも案内のFAXを送りました。すると昨日午後、電話で取材をうけまして、今日(2008年5月27日)付北海道新聞「旭川・上川」のページに記事掲載頂きました。以下にご紹介します。

20080527

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2008年5月24日 (土)

夕張に「市街戦演習誘致」!?

今朝(2008年5月24日)の北海道新聞1面を見て驚きました。こんな記事が掲載されていたからです。以下、北海道新聞ウェブサイトから転載。

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夕張へ市街戦演習誘致を 住民移転、陸自に集落提供(05/24 06:35)

http://www.hokkaido-np.co.jp/news/yuubari/94645.html

【夕張】夕張市で、陸上自衛隊の対テロなどを想定した市街地戦闘訓練演習場を誘致する構想が浮上していることが二十三日分かった。山間部に分散する集落から候補地を選び、住民を市中心部に移転させた後、老朽化した元炭鉱住宅のアパートや民家を演習用に提供する内容で、六月中にも誘致期成会を結成する。

構想は夕張商工会議所(沢田宏一会頭)が中心に推進、藤倉肇市長も前向きに検討している。土地買い上げや交付税措置で財政再建や地域活性化への効果を見込むほか、分散している集落の集約化も図る狙いという。

陸自は全国五方面に一カ所ずつ、ビル三、四棟と道路などの模擬市街地を備えた訓練所を持ち、ゲリラ戦などを想定した訓練を行っている。道内も東千歳駐屯地にあるが、いずれも面積は校庭程度で、実物の建物がある広い演習場はない。

地元関係者が四月に防衛省陸上幕僚監部(東京)を訪ね打診した際、陸自側は「テロの脅威が世界的に広がる中、特殊部隊が訓練可能な場は国内に少ない」などと前向きな対応だったという。同会議所は近く誘致期成会の発起人会を開く。

演習場には国から周辺整備費も交付され、訪れる隊員の消費効果も期待できる。また、ピーク時に二十以上の炭鉱があった同市は南北三十五キロ、東西二十五キロの市域に集落が分散、市営住宅管理や除雪効率の悪さが財政再建の足かせとなっており、今回の構想で一部が解決できるという。沢田会頭は「可能性あるものはすべて誘致する覚悟が必要」と話している。

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上富良野演習場を見に行ったときも地元のコンビニや街角には「縮小反対」のステッカーやのぼりがありました。上富良野町商工会の作ったものです。

Kc330016 ■美瑛⇒上富良野の町界

Kc330166 ■某最大手コンビニの張り紙

商工会議所や商工会にすれば「自衛隊歓迎」なんですから財政難の結果いとも簡単に演習場誘致構想が出るのは「自然」なのでしょうが、周辺住民や移転を「強要」される住民にとってどういう意味をもつのか、ということを考えたことがあるのでしょうか。

ウェブニュースには掲載されていませんでしたが、この記事には別面に解説記事がありました。その記事によれば「演習誘致」の背景にあるのは、夕張再建のため市長がすすめる企業誘致がすすまない現状を反映している、というのです。市長公約であった大口誘致が実現していない以上、「国が誘致先を探しているような施設も受け入れなければ」(4月下旬の市長会見)と、とうとう市と商工界の合作でルビコン川を渡ってしまったということに他なりません。夕張商工会議所は演習場のみならず、刑務所・カジノ・産廃施設なども誘致方針に含めているとのこと。要は安易な市長公約のツケを住民が受忍させられるということでしょう。自分では言い出しにくいので商工会議所に言わせたのか?

このような姿、山田はどこかで見たことあるなーと思ったらマイケル・ムーア監督の「華氏911」ではないかと気づきました。「華氏911」ではイラク派兵の最前線でたたかう米兵の多くが若い州兵や新兵であることを指摘。過疎が問題となる地方都市では若者に仕事がなく、大学に行こうと思ったら軍隊に入るしかない現状と、それを口実に若者を勧誘する海兵隊のリクルーターの姿を取材しています。経済的に切実な状況を作り出し、札びら叩いて身も心も奪ってゆく姿に酷似性を感じました。

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この事例、いくつの問題点があるでしょうか。不充分さはあるかもしれませんが以下にあげてみます。

(問題点1)住民の意に反する強制移転が行われる恐れがある。もちろん行政当局や商工会議所は「本人合意で」と説明するでしょう。しかし候補地となる場所の選定には当然自衛隊が介入するでしょうから(演習場予定地を選ぶのだから、自衛隊とすれば当然か)、行政の意を介さず純軍事的に好ましい場所を選ぶわけです。高齢化が進む夕張では、そういう候補地に住んでいる多くがお年寄りでしょう。昔からずっと住んでいて、「ここで最後まで暮らしたい」という思いで頑張っている人も少なくないはずです。しかし「ここに自衛隊の演習場をつくるから移転してほしい」と言われたら、公然と拒む人も出てくるでしょうがなかには「移転したくないが、夕張に迷惑をかけられない」と仕方なく受け入れる人もいるでしょう。拒む人は周囲から「あの人のせいで再建がすすまない」と後ろ指を差されることになるかも。住民団結で乗り越えるべき夕張再建に分裂要素を持ち込むこと。これこそが最大の問題点と指摘しなければなりません。

(問題点2)派兵型訓練である「市街地戦闘訓練」の固定化。そもそも市街地戦闘訓練所自体どうなのかと思います。この訓練は主として対テロなどと宣伝されていますが実際に米軍の市街地訓練の成果が運用されているのはイラクではないですか。日本国憲法の趣旨にも反する派兵型の訓練ではないか、と思うのです。また沖縄・金武町にある市街地戦闘訓練施設では同施設から発射された弾丸が民間住宅などに飛来し恐怖を広げています。集落すべてを演習場とするということは、そこは誰も入らぬ、誰も通れぬ空白地帯となってしまう恐れがあります。

P8200098 ■在沖米軍の市街地訓練施設

(問題点3)都市と地方の格差拡大、安易な軍事依存自治体の増加を招く。道東・別海町の前町長は自衛隊矢臼別演習場への米軍実弾砲撃訓練の移転に際し、積極推進策を打ち出し莫大な交付金を手にしました(手にしたのは町だが、それはどこに落ちたのでしょう?)。「毒を食らわば皿まで」で、自衛隊の演習を誘致した人々にとって、来る軍隊が米軍でもたいして変わらないということになります(自衛隊は賛成でも米軍は×、という人も当然いますが)。夕張を前例にしてしまうと、財政が悪化している自治体はどんどん軍事依存しようとするのではないでしょうか。

いづれにしても安易な決断をしてはいけません。住民の声を聞き、地方自治体の再建のあり方を示さねばなりません。みんなで心一つに頑張っている夕張は思想信条を超えて精一杯応援したい。しかし住民を犠牲にし、とにかく再建ありきと魂を売る夕張に、道民は手を差し伸べるでしょうか。

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2008年5月15日 (木)

国会で自殺未遂した現役自衛官のニュースを読む

5月8日、信じられないようなニュースがウェブニュースに掲載されました。「陸上自衛官、国会議事堂敷地内で自殺図る」。最初はいま問題になっている自衛官の自殺増加の問題と関係あるニュースかと思ったのですが、続報により全容が明らかになってくると、そうではなく自衛隊・自衛官の右傾化に関わりがあると推測するようになりました。詳細は今後解明されるでしょうが、現時点での報道をまとめておきます。

まず第一報は次の通りでした。

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■〈陸上自衛官〉国会議事堂敷地内で自殺図る

2008050900000007maisocithum000

 8日午後9時40分ごろ、東京都千代田区永田町1の国会議事堂北門付近で侵入を知らせる警備システムが作動した。衛視が議事堂敷地内の正面階段に向け逃げる男を発見、追跡したが、男は階段の踊り場で短刀(刃渡り約20センチ)で腹部を複数回刺して自殺を図った。警戒中の機動隊員が男を建造物侵入容疑で取り押さえ、現行犯逮捕したが約1時間後に入院のため釈放した。命に別条は無いという。

 警視庁麹町署などの調べでは、男は自衛隊体育学校所属の陸上自衛官(20)。制服姿だったといい、学校では射撃の選手という。家族にあてた遺書があり詳しい動機などを調べている。 〈5月9日午前1時18分、毎日新聞〉

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ほぼ同時刻の時事通信のウェブニュースによれば、この自衛官は「陸士長」だったといいます。数時間後の産経新聞ウェブニュースではこの自衛官が取り押さえられる際、「武士の情けだ、死なせてくれ」と叫んだと報じられています。そして時間の経過とともに、この自衛官の背後関係が明らかになってきました。第二報は産経新聞から。

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■自殺未遂自衛隊員が抗議文-福田首相の外交姿勢など批判

 国会議事堂(東京都千代田区)に男が侵入し、刃物で腹を刺し自殺を図り未遂になった事件で、男が福田康夫首相の外交姿勢などを批判する抗議文を作成していたことが13日、警視庁公安部の調べで分かった。男が右翼団体幹部の名刺を所持し、遺書に「天皇陛下万歳」と書いていたことも判明した。

 警視庁は同日、建造物侵入の現行犯で逮捕後に入院治療のため釈放していた埼玉県朝霞市、陸上自衛隊陸士長、鈴木田峻吾容疑者(20)を建造物侵入と銃刀法違反容疑で再逮捕した。

 調べによると、鈴木田容疑者は福田政権の外交や経済政策に対する憤りと、若者に奮起を促す内容の抗議文をUSBメモリー(外部記憶媒体)に記録し、東京メトロ国会議事堂駅のコインロッカーに入れていた。鈴木田容疑者の供述に基づき発見し押収した。 〈5月13日午後1時33分 産経新聞〉

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やはり背後に右翼団体の影がありました。己の政治主張を実現するため刃物をもって国会に侵入し、示威行動のように腹を刺すなど民主国家ではありえないことです。実に重大な事態であることを指摘しておきたいのです。刃物が向かった先が自らの腹でなく、議事堂を歩く国会議員であったならば、訓練を受けた自衛官ならば犠牲者が出てもおかしくありません。逮捕された陸士長は2・5メートルの柵を乗り越え、国会議事堂に侵入しています。この行為が、「次はお前らだ」というメッセージを帯びていたならば、そのことに民主主義が屈したならば、日本は暗黒社会と化してしまいます。

一人、このような人物がいたとして「自衛隊の右傾化」とは即座に言えるわけではありません。実際に『自衛隊裏物語-みんなの知らない国防組織の真実』(後藤一信・著、basilico・刊、2007年8月)では「自衛隊員には主義や主張は必要ない。自衛隊内では、左翼だけでなく右翼も、実は浮いた存在なのだ」と述べられています。しかし一方で、先に報告しているように日本会議などが主催する宗教色、民族色の強い講演会に師団長以下制服自衛官が参加するような現状が現場にはあります。そのことを軽視することもできません。

この事件から想起するのはそれだけではありません。ここ一年弱の間に立て続けに起きている右翼団体の「抗議」活動を怖れた諸事例があります。日教組教研集会の会場利用を契約締結後の開催直前に拒否したグランドプリンスホテル新高輪の事例。同ホテルはいまなお自らの行為を詫びておらず、身勝手な言い訳を述べ続けています。続いて起きたのが映画「靖国」をめぐる靖国派国会議員の検閲介入に端を発した上映中止事例。前売り券まで販売し、上映直前だった映画館が右翼団体を恐れ上映中止しました。対象が政府となり、威嚇手段が変わりましたが構図としては同じような事例ではないでしょうか。

三島由紀夫氏の起こしたような事件が二度と起きぬよう、そして自衛隊によるクーデターなどが現実化せぬよう、自衛隊に対し憲法に基づく厳しい目をむけなければなりません。それが軍の意向に左右されない民主国家建設の道であります。その道の先には、自衛隊解散(山田としてはどの国でも即座に駆けつけ人命を救う国際救助隊を創設し、意欲ある旧自衛隊員の活躍の場としてほしいと思っています)が見えてくるのではないでしょうか。

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2008年4月 9日 (水)

名古屋高裁判断「市長の神社祝辞は違憲」

北海道新聞2008年4月8日掲載の記事ですが、道新webに掲載がなかったので、内容はちょっと違いますが時事ドットコムから以下引用します。

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Photo_2 2008/04/08-01:15 神社式典で祝辞は違憲=市長に公金返還命令-名古屋高裁支部
石川県白山市の角光雄市長が神社式典に出席し祝辞を述べたのは違憲として、同市内の男性が公金返還を求めた訴訟で、名古屋高裁金沢支部(渡辺修明裁判長)は7日、「市と神社の関係は社会的条件の限度を超え、憲法が禁じる宗教的活動に当たる」として、請求を棄却した1審判決を取り消し、市長に2000円の返還を命じた。
渡辺裁判長は「祝辞の目的は宗教的意義を持ち、効果は特定の宗教に対する援助、助長、促進になり、社会通念上儀礼の範囲を逸脱している」と判断。市長の行為は政教分離に反するとして、公用車運転手の手当分の支出を違法と認定した。

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時事にはないものの、道新では書かれていることがいくつかありますので紹介します。

原告の男性が求めた公費返還は約1万6千円。この内訳は記事では明らかになっていませんが、判決が認めたのは公用車運転手の時間外手当2000円。金額は小さいものの、祝辞の違憲性と共に、違憲支出と認めたことは大きいと思います。

それからどういう神社のどういう式典だったか、ということも時事では書かれていません。2005年6月に「白山比咩(しらやまひめ)神社」の「御鎮座二千百年式年大祭」の奉賛会発会式に来賓として公用車で出席。祝辞を述べたそうです。

そうなってくると微妙なのがこういうことですよね。そもそも判決は確定していませんので、まずは判決確定まで見守っていきたいと思います。

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2008年3月28日 (金)

辺野古の有刺鉄線に巻かれたピース・リボンが焼かれる

ニュース紹介です。2008年3月27日付琉球新報のウェブニュースから「無残『平和のリボン』焼かれる-名護・辺野古」から転載します。

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無残「平和のリボン」焼かれる 名護・辺野古2008年3月27日

Img47eb465c03280 【名護】名護市辺野古の浜に設置されたキャンプ・シュワブを囲む有刺鉄線に結ばれた「平和のリボン」が27日朝、焼かれているのが分かった。
リボンには、キャンプ・シュワブへの普天間飛行場代替施設建設反対を訴えるメッセージが書かれ、500本以上結ばれていたが、ほとんどが焼かれている。
代替施設建設に反対し辺野古で座り込みを続け、現在も海外や全国から届くリボンを結び付けている篠原孝子さんは「基地を造ってほしくないという平和の気持ちを踏みにじっている。暴力的なやり方に憤りを感じる」と表情をこわばらせた。
篠原さんによると、26日夕方は、焼かれていなかった。【琉球新報より】

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■上の写真は山田が2007年8月に同所を訪ねた際に撮影した有刺鉄線とピース・リボン

法的には日米安保条約等関連法規に基づき設置されたキャンプ・シュワブと民有地の境目に米軍が設置した有刺鉄線に、勝手にピース・リボンを巻きつけたことになるわけで、政府や米軍はいいたいこともあるでしょうが、そもそも漁民達の生活の場である辺野古の海に民意など関係なしに基地をつくり居座っているのは米軍であり、それを許容しているのは自民・公明連立の福田政権です。その上で、「取り外す」のではなく「焼く」ことに現れている、日本の人々に対する敵意が許せません。何が「同盟国」なのだろうか。

もちろん記事でも、この事実を紹介している平和ブログでも、犯行が誰によって行われたかには言及していない。ある平和ブログでは米軍による監視カメラの存在を知らない第三者による犯行についても言及されています。しかし、その場(犯行時点)で捕まっていないことを考慮しても(第三者が米軍施設に火をつけたらどうなるでしょうか。その場で大変なことになりますよ)、米軍の監視カメラに映ってピース・リボンに火をつけて平気なのは、米軍自身ではないのかと・・・。あくまで推測です。

それにしても今回の事例は、辺野古を訪ね、ピース・リボンに平和の願いを託した全国の人々を震え立ち上がらせることでしょう。やはり、米軍基地は撤去しかない!

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2008年3月 8日 (土)

「大雪山国立公園に演習場」とは!?

ニュース紹介ではありますが、今朝(2008年3月8日)付の北海道新聞に「大雪山国立公園に演習場」の驚くべき記事が掲載されていました。95年から順次買収し演習場の「緩衝地帯」のような目的で利用されており、着弾も想定していたにもかかわらず、立入禁止措置を具体的にとっていなかったというのです。安全管理の側面と、環境保護の側面の両面の問題があると思います。近く関係する地元の方にコメントをいただき、追加掲載したいと思います。以下、北海道新聞サイトから転載。

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防衛省 大雪山国立公園に演習場 589ヘクタール買収、拡張 95年度から市民に周知せず(03/08 06:55)

0002  防衛省が、陸上自衛隊上富良野演習場(上川管内上富良野町、中富良野町、富良野市)の東側に隣接する大雪山国立公園の国有天然林計五百八十九ヘクタールを、演習場用地として林野庁から買収していたことが七日までに分かった。同省は買収の目的を「流れ弾などの着弾による市民の危険を防止するため」としているが、立ち入り禁止の周知はしておらず、登山愛好家らが拡張された演習場内を歩いていたケースもあった。環境省によると、国立公園内の土地の売買は自由で、林野庁も「売買は正当な理由によるもので問題ない」としている。

 買収区域は十勝岳連峰の西端にある富良野岳と旭岳の山麓(さんろく)。演習場を幅約一キロ、延長約六キロにわたって拡幅する形で買収しており、すべてが国立公園内。

0001 【図を拡大】

 同演習場は、一九五五年度に開設、りゅう弾砲、戦車砲などの射撃訓練を行ってきた。九五年度に最高で地上二千メートルという高い弾道を描く一二〇ミリ重迫撃砲の演習が始まり、着弾地が風下にぶれる可能性が出てきたため、演習場拡張に着手した。買収は同年度から二〇〇六年度まで、計十二回にわたって行い、買収総額は約七億八千万円。同演習場の現在の総面積は約四千ヘクタールで、今後、さらに国立公園内の約二百ヘクタールを買収する予定だ。

 上富良野駐屯地によると、同演習場では月平均百二十時間程度の演習を行っているが、これまで国立公園内に着弾した例はないという。同駐屯地は「険しい地形なので市民は入らないと判断した」として、拡張部分について看板などで立ち入り禁止を周知する措置は取っていない。

 しかし、実際には地元住民らが山スキーなどで入山しており、二年前に春スキーを楽しんだという男性(58)は「現場には拡張された演習場と分かる標識も何もなかった」と話す。

 これに対し、同駐屯地は「(市民が入山している)事実は把握していない。市民が立ち入り禁止区域に勝手に入ったことになる。今のところ、立ち入り禁止を広報するなどの考えはない」としている。

 川口迪彦・北海道平和運動フォーラム事務局長は「市民に知らせず立ち入り禁止措置もとらないまま演習を実施していたとは危険きわまりない。最低限、人命尊重のために敷地を明確化すべきだ」と指摘している。

 現場は国立公園内としては最も規制の緩い「普通地域」だが、工作物の設置や土地の形状の改変には届け出や事前通知が義務づけられている。流れ弾が着弾した場合は土地の形状が変わる可能性があるが、環境省は「(流れ弾は)事前予想ができないため通知は不要」としている。買収後は自衛隊が自然公園法に基づいて土地を管理しており、工作物の設置などはしていないという。

 防衛省によると、道外では国立公園内に開設した演習場が三カ所、演習場開設後に国立公園に編入された所が一カ所あるが、演習場拡張のために新たに国立公園内の土地を買収した例はない。

http://www.hokkaido-np.co.jp/news/society/80355.html

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2008年2月16日 (土)

米軍機移転訓練、2月25‐28日にFA18と決まる

今朝(2008年2月16日)の北海道新聞一面コラム「卓上四季」が、米軍機の移転訓練問題でなかなかすっきりした物言いをされています。以下に紹介します。

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戦闘機マジック(←リンク切れに注意)

手品師たちは昔から、観客に怪しまれない動きをしながらトリックを用意したそうだ。例えばさりげなくポケットに手を入れる。観客は「何か種があるのではないか」と疑いながらその手に注目する▼手品師はハンカチを取り出す。汗をふいてポケットに戻す。「何だ、それだけか」。観客は納得して視線を移す。そこで手品師はポケットから手を出す。手にはもちろん、隠していたものを握っている▼そんな舞台でも見るようだ。在日米軍再編に伴う訓練移転で、千歳基地を使った日米共同訓練が二十五日からと決まった。飛んでくるのは、米軍岩国基地のFA18戦闘攻撃機だという。おや、いつの間に岩国基地からになったんだっけ?▼沖縄には基地が集中している。負担を少しでも軽減するための移転だ、と政府は繰り返し説明してきた。ならば仕方ない、と納得した人は少なくなかったはずだ。その結果、受け入れが決まった。だまされた思いがするのは、地元ばかりではあるまい▼「実は全国の基地を米軍が自由に使えるようにするための再編だ」。そんな指摘は当初からあった。種明かしをされてみれば、その懸念がますます深まるようだ。沖縄の負担軽減という建前から切り離されるなら、千歳を使った訓練はなし崩し的に増えかねない▼「訓練移転」の言葉がトリックめいている。これは千歳への「訓練拡大」ではないのか。

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リンク切れするかもしれませんが、関連記事として2月15‐16日の両日、北海道新聞には「米兵外出に職員同行」(16日)、「戦闘機移転訓練 千歳は25-28日」(15日)などがありますのでご紹介しておきます。

Fa18f なおやってくる米軍FA18ですが通常型の「ホーネット」でもF15比で騒音は格段に酷いとの声がありますが、岩国基地に移転計画の有る厚木基地所属の約半数はエンジン性能が向上されたFA18E(単座、またはFA18F複座)スーパーホーネットで、さらに通常比35%も出力が増大。これに伴い一層爆音が酷いとのこと(赤旗2004年10月2日記事「神奈川厚木基地・爆音が胸押しつぶす」参照)。アメリカでも社会問題になっているようです。

北海道新聞「卓上四季」が言うように「トリック」で誤魔化そうということでしょうが、道民は騙されず、ともに声をあげていく時ではないかと強く思うのです。

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追記:当ブログがリンクさせていただいている「念仏者九条の会北海道」様が、当ブログの「2・9米軍来るな千歳集会/参加報告」を丸々紹介してくださっています(こちら)。念仏者九条の会ブログ管理者様より依頼があり、拙文ながらありがたいお申し出に了解させていただきました。ポイントに強調もしていただき、よりわかりやすくなっています。御礼を申しあげると共に紹介させていただきます。

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2008年2月 5日 (火)

小樽やはり入港決まる、千歳米軍訓練2月下旬

20080205 今朝(2月5日)の朝日新聞によれば、やはり「ブルーリッジ」が小樽へ入港することになったそうです。記事では「寄港は当初の計画通り7~11日とされている」としながらも時間帯までは報道していません。現地では7日に「ブルーリッジ入港反対抗議集会」が予定されています。以下ご案内します。

小樽「ブルーリッジ入港反対抗議集会」

日時:2008年2月7日(木)午前9時30分~

場所:小樽港港町ふ頭

問い合わせ:小樽地区労連(℡0134-23-6756)

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9日に「米軍来るな千歳集会」が予定されている千歳基地への米軍飛行訓練は日米共同で行われ、1-5機の米軍機が1-7日間にわたり訓練を行うことになりそうです。ただし降雪状況によっては中止の可能性もあるとのこと。北海道新聞の報道によれば使用機種が米軍嘉手納基地のF15だけでなく、岩国基地のF18が参加するかもしれないとの記載がありました。F18ともなれば爆音のレベルはF15を超えます。道民が受ける被害は一層深刻になります。

北海道・千歳市・苫小牧市は国に対し「土日や早朝・深夜の訓練をしない」「自衛隊が通常使っている訓練空域や飛行経路・飛行方法で行う」との「訓練受け入れ条件」を再要請したといいますが、北海道防衛局は「最大限努力する」との回答。必要に応じて「努力したが判断により・・・」と道などの要請は守られないことがありうるということでしょう。防衛当局が米軍に対し弱腰では、訓練地域住民の生命や平穏な生活が守られないことは沖縄のこれまでと現状から明らかにもかかわらず、「努力」としか回答できないとは住民が不安を増すばかりではないでしょうか。

私達は改めて訓練の中止を要請するとともに、千歳・苫小牧両市民のみならず、北海道民全体でこの問題に意見を述べていくことを呼びかけます。

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2008年2月 2日 (土)

「商船予定変更、港に空き」に圧力を感じるのは当然

今朝の北海道新聞の記事に戦慄が走りました。

20080202 「米艦入港可能に/小樽市/商船予定変更、港に空き」の見出し記事(左の写真)。以下、北海道新聞ホームページからご紹介します。

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【小樽】米海軍の揚陸指揮艦「ブルーリッジ」の小樽港寄港問題で、商船のバース(岸壁)利用を優先させるため、米側の要請を断った小樽市に一日、商船の代理店から「入港予定が十日遅れる」と連絡があった。これを受け、同市は一日、小樽海保を通じて米側にバースが空いたことを通知した。

 市港湾部は「商船の日程変更の理由は分からない」とする一方、再度、米側から寄港要請があれば「容認することになるだろう」としている。

 小樽市によると、パナマ船籍の穀物船が八-十三日に小樽入港を予定し、七-十一日に寄港要請したブルーリッジと日程上、かち合っていた。

 米側には、ブルーリッジ寄港を求める場合は再度文書で要請するよう求めており、週明けにも何らかの返答があるとみられる。

 同市にはここ数日間、外務省から「入港を断る根拠は何か」「先に入港すると通知した米軍側を優先すべきだ」など、圧力とも取れる連絡が繰り返しあった。一日は同省北米局日米地位協定室長が山田勝麿市長を訪問。同市幹部によると「市長はこれまで通り商船を優先する考えに変わりはないと回答した」という。

http://www.hokkaido-np.co.jp/news/society/73794.html?_nva=29

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これは誰が読んでも「商船オーナー筋と荷主筋に某国外務省関係から圧力がかかったのではないか」と推察することでしょう。実際に同日付北海道新聞コラム「卓上四季」もそのような指摘をしています。

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美女には弱いが殺しのライセンスを持つ。スパイ映画の主人公007だ。今年は原作者イアン・フレミングの生誕百年に当たる。「マイ・ネーム・イズ・ボンド」。007がいつものせりふで身分を明かすと、悪役たちは強いプレッシャーを受ける▼「米軍艦船が寄港を希望している」。そんな言葉にも、ボンド並みの神通力はあるのだろうか。米第七艦隊の旗艦ブルーリッジの入港を拒否した小樽市に、外務省が圧力めいた問い合わせを繰り返した▼米艦が寄港を求める期間、岸壁は商船でふさがっていた。だから小樽市は要請を断った。外務省は米艦を優先するよう求め「調整しないのは港湾管理者としての能力に欠ける」などと受け取れる発言をしたという▼商都・小樽の港だ。市長は「商船を追い払ってまで入れるとしたらまるで軍港だ」と語った。正論である。ところが急に岸壁が空いたそうだ。米艦は寄港できる。妙な展開だ。どこかに圧力があったか、誰か「調整」したのか▼道内港湾は近年、米軍艦船の寄港が目立つ。イラクで戦った空母も来た。室蘭、函館に続き、昨年からは石狩湾新港にも入る。米軍戦略にどう組み込まれているのか、わからない点は多い▼自治体の都合や住民の不安に構わず、地位協定を盾にして、入港が実現するよう繰り返し圧力をかける。外務省はそんなライセンスを、一体いつ取ったのだっけ。

http://www.hokkaido-np.co.jp/news/fourseasons/73857.html

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この「理屈」を容認すれば、日本全国、いつどのような場所でも、米軍が望めば、市民がどんなにささやかに暮らしていても、その場所は提供せざるを得ないことになるのです。そんな法治国家がありますか。一方でアメリカ本土では米軍が訓練場に予定していた場所が住民の反対により断念したとのニュースも届いています。

よく「日本はアメリカの51番目の州だ」などと冷やかす声を聞きますが、アメリカ国民ほども人権と抵抗権を持ち合わせていないことが、この事例からも明らかです。米軍は日本を、いまだ占領地程度にしか考えていないのではないでしょうか。

やはり6日は小樽に駆けつけねばなるまいか・・・。小樽市には今回のことで完全屈服するのではなく、地方自治の役割を改めて認識する機会として活かしてほしい。

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2008年2月 1日 (金)

外務省が米艦入港拒否の小樽市に圧力か

2008年2月1日付北海道新聞によれば「米艦入港拒否の小樽市に・・・外務省が圧力?」との見出して記事が掲載されています。以下、ご覧ください。

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記事では「商船のバース(岸壁)利用とかち合うため」に、米海軍の揚陸指揮艦「ブルーリッジ」の入港を拒否した小樽市に対し、「外務省から圧力とも取れる問い合わせやバース利用状況の照会が相次」いでいるというのです。そしてその「問い合わせ」「照会」の具体的な内容は通常では考えられないもので、客観的にみれば「圧力」以外の何ものでもない、というのが感想です。

入港要請を断った28日から31日までの4日間、外務省北米局課長補佐クラスの幹部から10回近い電話(カウントしていないのだろうけど8-9回としても1日2回)があり、日米地位協定室長(という担当者がいるのですね!さすがだわ)が直接小樽市役所を訪れたそうです。日米地位協定室によれば「一般的な意見交換」だという。

これに対して小樽市幹部が証言する外務省の主張は?といえば、「米軍側は1月16日に入港を伝えたんだから、商船との競合が分かった25日の判断より優先すべきだ」「(入港できるよう)調整しないのは港湾管理者としての能力に欠ける」と言っているようなのです。これは事実上、「ブルーリッジ」を最優先し商船の接岸を断れ、との威圧であり、市幹部も「ある種のプレッシャーだ」と述べています。

これは今回の入港がダメだったとしても、「次はわかってるな」という猛烈な圧力でしょう。政府からのこの種の圧力は、「言うことを聞かないと交付金に影響するぞ」と言っているのと同じではないでしょうか。地方自治体幹部にとっては地方自治と圧力との辛い板ばさみといわざるを得ません。

小樽市は「商船を追い払ってまで入れるとしたら、まるで軍港だ」(山田勝麿市長)と市長先頭に地方自治の「最後の砦」を守ろうとしています。山田市長は保守系で、これまでも米空母の入港を積極的に受け入れ歓迎してきました。米艦の入港拒否は今回が「初めて」。記事では港湾法に基づく港湾管理者の権限への介入、総務省所管の地方自治体に対して管轄外の外務省からの干渉に、小樽市は「疑問」をもっているとのこと。当然のことと思います。

小樽市としては「これまで友好・親善のために協力してきたのに」との思いや、なし崩し的に軍港化されるという危機感、そしてまた古来の商業都市として商船の利益を最優先すべきとする「誇り」がそこにあるのではないでしょうか?そのような気持ちをなぎ倒して札束で屈服させようとする「力の政治」は長続きしないことを歴史は証明しているのではないでしょうか。

■参考のため入港拒否を表明した際の記事を貼り付けます。

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2008年1月29日 (火)

第2師団のIT化実験の狙いと今後

20080124 陸上自衛隊第2師団は2007年から「師団等指揮システム」(Fics)、「基幹連隊指揮統制システム」(Recs)を導入し、いわゆるIT化実験師団として訓練を行っています。2007年だけでも7月、10月、12月に大規模な演習を行い、実用化に向けて訓練を重ねています。10月、12月の演習は防衛省研究本部と合同で行われており、演習結果を即反映できる体制がとられています。私達は地元旭川の第2師団がIT化していくことが、自衛隊のどのような変化につながっていくのかを注視してきました。

自衛隊準機関紙ともいえる『朝雲』1月24日号に日米の陸軍“サイバー化”について特集的な記事が掲載されました。以下、ご紹介します。

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記事では西側各国で整備がすすむ「サイバー部隊」のうち、日米の両整備状況に的をあてています。この「サイバー部隊」化の構想は1990年代など早くからあったものの、ここ10年位のIT技術の進歩のなかで具体化してきたといえます。イギリスでは1998年、フランスは1994年、ドイツも1994年に具体化がすすめられましたが、それぞれそのベースとなる構想は1970年代からあったようです。どの国のシステムも相互運用性が重視され、アメリカを含む複数の陸軍共同での演習が行われてきています。(参考:DRC2001年「欧州主要国陸軍のC4I2基盤の整備」中村暁氏・・・余談ながらDRCディフェンス・リサーチ・センターの研究委員の多くは元幹部自衛官であり防衛行政サイドの意向を反映していると推測されます)

記事中で対比紹介されているのは米陸軍の統合歩兵戦闘システム「ランド・ウォーリア」と日本の「師団等指揮システム」(Fics)と「基幹連隊指揮統制システム」(Recs)。日本は米「ランド・ウォーリア」を上回るとされる「先進個人装具システム」も開発中とのこと。日本のFics・Recsは現在第2師団に先行装備され2007年も幾度となく部隊実験が行われています。第2師団が全国のなかで一番練度の高い師団となるわけで、米陸軍との相互運用性を重視した場合、海外展開の最有力候補になることは明らかです。現在も北部方面隊が中央即応集団の国際任務部隊として指定されています。ではそれらの装備の特徴とは・・・。

20080124 米陸軍「ランド・ウォーリア」はヘルメットに装備された片目用ディスプレイに地図情報や部隊の位置情報などが表示され、これを確認しながら作戦を行うという個人装備。「情報優越」こそ戦闘能力の増大の要と開発されたそうです。具体的にはパソコン・GPS・通信機・各種センサー・電池などで構成され総重量7・2キロ。これを全身に装備し行動します。具体的にはこちらのサイトなどを参照ください。

この装備は現在、イラクの最前線で装備運用されており米陸軍第2歩兵師団第4ストライカー旅団戦闘団が運用しているとのこと。40度を超える気温、砂漠地帯の劣悪な環境の下で何が障害になるか、ということのようです。しかし最大の問題は重量だそうで、兵士が装備するその他の装具を含めると30-35キロにもなり、加えて武器・弾薬が加わり、兵士の負担が大きくなります。そのため戦場では「ストライカー」型装輪装甲車を拠点に展開するものの、現在の「ランド・ウォーリア」では長距離通信ができないため離れすぎると情報ネットにカバーされなくなる難点があるのだとか。

運用を担う兵士の間では「ネットで味方の動向を把握しながら作戦が行えるので心理的負担が減った」「声を発さずにメールで交信でき安全」というメリットの一方、「装備が重くてかさばり動きが緩慢になる」「武器を抱えて移動するのは大変」などのデメリットも報告されているとのこと。他にもバッテリー残量(バッテリー切れは最大の敵。一方で発電性繊維で戦闘服をつくることにより充電しながら戦闘が可能になる、との情報も・・・)、セキュリティー(日本の場合、民生用認証技術はここで軍事転用されることも)なども問題も残されています。

20080124_2 一方、日本のシステムについて「朝雲」はほとんど触れていません。まだ実験段階で紹介できないのか?と思いつつ、本格配備になっても防衛機密の高い壁に阻まれそうな気配です。記事では第2師団と防衛省技術研究本部の合同「C4I2」部隊実験を紹介。第2師団では遠軽の第25普通科連隊(25普連)に配備されているRecs。2007年10月から開始し、12月には25普連を基幹とする戦闘団を北富士演習場に展開させての総合検証を行っています。この間も25普連はRecsを運用しての春季演習場整備(上富良野・矢臼別、5月)や災害情報収集訓練(第2飛行隊と連携しヘリと地上で情報ネット構築)、紋別総合防災訓練の場を「活用」しての第2通信大隊と一体となってのFics運用訓練などを実施しています。

これらIT化装備は現段階では第2師団のみ配備されていますが、新年度は山形の第6師団にFicsが配備されることが決まっているようで、順次陸上自衛隊の各師団に配備されると推察しています。実際、Recs量産試験確認支援(開発実験団長が視察、5月)など、Fics・Recsの量産試験は進められており各システムの具体的な量産確認試験は富士通・NEC・東芝など主要電気通信関連会社と契約がすすめられています(防衛省HP「平成19年度公募契約予定品目一覧」等参照)。これらの配備にどれくらいの予算が必要なのか?現段階では詳しくわかりませんが、新たな金食い虫であることは明瞭です。

第2師団では師団独自に師団部隊実験演習を7月・8月などすすめているのと別に、技術研究本部と合同の前述「C4I2部隊実験」を行っていますが、その3回目は2008年2月に旭川駐屯地で行われることが既に明らかになっています。記事ではその目的を「厳寒の道北で電源の維持・確保など、システムの継戦能力もテーマとなるはず」としています。これら装備はアメリカが展開するどのような気候地でも対応せねばならず、その意味では寒冷地訓練は欠かせないでしょうが、いったい狭い旭川駐屯地でどのような演習を行うのか注視しています。

これらIT化は2007年6月の第2師団創立記念行事でも「災害派遣」の現場で活躍すると宣伝されていたことや、上記「紋別総合防災訓練」での運用など「災害」対応名目で浸透を図り、実際には米軍との相互運用性を高め海外任務で多用(運用試験)するのではないかと推察しています。このような派兵型装備の充実と予算化には危惧するとともに、イラク派兵時のように再び第2師団が先行投入されるのではないかと疑念を抱いています。

イラク派兵第一陣の結果、帰国後自殺者まで出した第2師団。他の帰還隊員のその後の心身の健康状態がどうなっているかという疑問には答えないまま、またもや旭川(道北)からの海外派兵を許してはならないと考えます。(正確にはイラク派兵後、ゴラン高原に隊員を出しています)。

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2007年8月24日 (金)

NEWS紹介/佐藤正久氏「駆けつけ警備」問題、実は陸自方針?

独自ソースがあるわけではないものの、話題の平和問題について備忘録的に各種NEWSを紹介する「NEWS紹介」コーナーを新設。第一弾は先の参院選で初当選を果たした佐藤正久氏がさっそく「問題発言」と巷で話題の「駆けつけ警備」問題。

まずは東京新聞8月17日付から事実関係と、弁護士ら有志による公開質問状についての報道。

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記事のPDFがよく見えないかもしれません(画像を拡大表示いただくか、プリントアウトすれば読めます)ので簡潔に紹介しますと、8月10日TBS系ニュースで放映された「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」の「駆けつけ警備」容認一致、とのニュースでのこと。そもそも、この「一致」自体が憲法違反ではないか、と思いますが、佐藤正久氏はイラク復興業務支援隊の初代隊長のとき、「(自衛隊を警護していたオランダ軍が攻撃を受ければ)情報収集の名目で現場に駆けつけ、あえて巻き込まれる」意思があったと述べたとのこと。さらに「巻き込まれない限りは(武器使用が可能な)正当防衛、緊急避難の状況はつくれない」「普通に考えて手を差し伸べるべきだという時は(警護に)行ったと思う」と説明。「(その結果)日本の法律で裁かれるのであれば喜んで裁かれてやろう」と話したとのこと。これを杉浦ひとみ弁護士ら有志の人々が「派遣決定を超えた行動」「文民統制無視」と批判し公開質問状を送付しました。公開質問状の全文等は杉浦弁護士のブログに詳しく紹介されています。

これに対し佐藤氏は「現場の実相を伝えたかった。議員になったのも現場と法とのギャップがあるなら、議論し、直すべき点は直すべきだと考えたから」と開き直り、さらに「オランダ軍には自衛隊の連絡官もいた。オランダ軍だけで攻撃に対応できないとき、人道的な観点から放置できないこともあり得た」と続けます。

この記事止まりでしたら「現場には現場の苦労があるなー」との印象も拭い去れず、問題の本質に迫りきれたかどうか疑問がありました。そこに切り込んだのが、さすが東京新聞「こちら特報部」。同紙8月23日付で次のような驚くべき告発を紹介しています。

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この記事によれば、前述の佐藤氏の発言とまったく同じ内容が、陸上自衛隊の研修会で使われている資料「武器使用権限の要点」なるA4版約90ページのなかで展開されているとのことです。報道されている同資料は2003年11月12日付であり、イラク派兵の直前のことでした。

資料には「(イラク)特措法の武器使用」という項目もあり、結局は佐藤氏の主張した「個人の思い」(東京新聞8月16日の取材)とまったく同じ内容の武器使用規定が綴られているとのことです。その上で東京新聞は、佐藤氏の発言は「実は陸自方針を代弁」していたのではないか?と指摘する弁護士の発言を紹介しました。これが事実だとすれば、大規模な文民統制違反が組織的に行われていたことを示しますし、仮に政府承認のもとでの方針であれば小泉政権の国民・国会に虚偽方針をしめしたことになります。どちらにしても大問題です。

この資料、全体の4割以上を占める「危害射撃の可否判断の具体例」約40ページがすべて黒塗りされており、今後の情報公開に期待がかかっています。

今回の事例で、文民統制というのは常に国民が監視せねば、現場レベルでなし崩しにされる怖れのあるもの、という歴史的教訓があらためて確認されたように思います。17日付記事では日中戦争の発端となった謀略「柳条湖事件」を例に挙げ同事件の立案者・石原莞爾関東軍参謀(当時)の「謀略により機会を作製し、軍部主導となり国家を強引する」との発言を紹介していますが、まさに現代の謀略戦が開始されているのかもしれません。

さてこの問題、下手をすれば「友軍を助けるべきか、否か」という水掛け論に陥りがちで、結果人道的には「助けるのが筋」との主張に与しやすいのでしょうが、前提を欠いた論争であることに留意せねばなりません。そもそも、日本国憲法第9条で戦力を保持しないと国際公約した日本が、実際上戦力である自衛隊を米英占領下のイラクに派兵したこと自体が根本の誤りなのです。実際、自衛隊が行った給水は、同時期に諸国の非武装NGOが行った給水に勝るどころか、自衛隊給水実績のかなりの部分が自家給水(自衛隊の煮炊き・洗濯・入浴等)であったとの指摘もあります。

このように「作られた前提」のもとでの「駆けつけ警備」は、それ自体が戦争国家への一里塚であることを知らねばなりません。本質を見抜く目と、それを支える報道。民主主義保障の前提です。

なお、当の佐藤氏は8月24日正午現在、自身のウェブサイトでこの問題については何も触れていません。

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