6月7日、陸上自衛隊第2師団創立65周年記念行事が行われ旭川駐屯地が開放されました。私たちは事前に、(1)F15戦闘機の飛行展示中止、(2)訓練展示の空包発射やヘリ低空飛行の中止等を求めて旭川市と第2師団に申し入れしていました。また、旭川市に対しては2013年に行われた旭川市公式ゆるキャラ「あさっぴー」の軍用ジープでの観閲パレードを行わないよう求めてきました。
当日、新日本婦人の会旭川支部のみなさんが駐屯地開放を見学したい、ということで、当会から事務局長が、また道北基地監視隊からK氏が同行しました。
①新型10式戦車お披露目(2年目)と例年通りの訓練展示
正門から入場
観閲式スタート。「君が代」演奏
「巡閲」というようです
観閲行進スタート。先頭は副師団長
82式指揮通信車、小松製作所が生産、約9000万円
99式自走155mmりゅう弾砲
砲塔は日本製鋼所、車体は三菱重工業で約9億円
乗員にしてみれば晴れの舞台、なのでしょう
八条旭日旗を掲げる10式戦車。120mm滑腔砲は日本製鋼所、砲塔・車体は三菱重工で調達初年度は9・5億円、後年では7億円くらいといわれる
この旗は、戦前の帝国陸軍軍旗(十六条旭日旗)とは異なりますが、同じくらいふるい時期から存在していた「軍旗」であり、陸上自衛隊が掲げるのに適当とは思えません。海上自衛隊の自衛艦旗は戦前の帝国海軍旗と同一であり、侵略戦争の反省はどこへやら?と疑問です。余談ながら。
90式戦車。120mm砲は日本製鋼所、砲塔・車体は三菱重工で約8億円
74式戦車。砲は日本製鋼所、砲塔・車体は三菱重工で約3億円
他にも多種多様な車両が行進しましたが省きます。
訓練展示(模擬戦闘)スタート。敵役が出動します
敵役は古参の74式戦車なんですね…
敵役の隊員が機関銃を射撃。5.56mm機関銃MINIMIと思いますが、住友重機械工業製で267万円
自衛隊側の反撃開始、と。対戦車戦闘ヘリAH-1Sがずいぶん低く飛びます。富士重工製で約23億円。第2師団は保有していないヘリ。何年か前に隊員に聞いたら帯広第5旅団から飛来した、と。
多用途ヘリUH-1Jからリぺリング降下。このヘリは川崎重工製で11億円
後にヘリからの銃撃も行っていました
自走りゅう弾砲が空包射撃。大きな音に、やはり小さい子どもが泣いていました。どれだけ「勇猛」だといわれようが、親が自衛官だろうが子どもにとって怖いものは怖いのです
10式戦車(右)が機銃を撃ちながら進んできます
96式装輪装甲車から隊員が飛び出て射撃。小松製作所製で1億2千万円。たまに国道12号線を走っています。すれ違うとき、いつになっても慣れないもので戦慄を覚えます
②装備品展示。子どもへの先行投資的「入隊勧誘」の場
説明員の自衛官はそのまま、一般市民は顔がわからないよう画像処理しました
はじめて間近で10式戦車を見ました。90式と似ていると思っていましたが、よく見ればずいぶん違うものです
90式戦車は子どもらの記念撮影の場に
撃ってない戦車はよい記念撮影の場になるようです
ヘルメットをかぶって
防弾チョッキを着て
説明員の自衛官は丁寧にだいたいのことは教えてくれます
今年も小銃など銃器類は触れないよう規制されていました
③あさっぴー、今年は軍用ジープパレード実施せず
あさっぴーは模擬店が並ぶグラウンドの隅で記念撮影の相手をしていました
2013年の駐屯地開放では軍用ジープに乗り観閲パレード(もどき)をしていました。幅広く市民に愛されるべき「あさっぴー」にこれは無いだろう、と思っていました。今年は実施されず安堵しました
子どもたちが遊ぶコーナーは今年も健在
子ども達の遊ぶ隣には募集・広報の一大コーナーが。大量の資料を配布し、小さな子が制服もどきを着て記念撮影していました
最後は師団司令部にも。3階に休憩コーナーがあったり、2階の展示品を見学できるとのことで2階まであがってきました。ここで偶然、師団広報室長に遭遇。要請書手渡すときとは大違いで「よく来てくださいました」とニコニコ笑顔。営業スマイルのようでした。申し入れの時もこれくらいリラックスして対応くださればいいのに、と思います
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見学に来た新日本婦人の会の女性たちは一様に驚いていました。戦争の道具があまりにも無批判に展示されていること、子ども達がそこに動員され、国防のためとはいえ「武器の本質」が語られていないこと等々。東日本大震災での活動や、真面目な自衛官の姿には好感をもつ女性たち。やはり自衛官に「アメリカの戦争に参戦させよう」とする自公政治への批判が渦巻いていました。
毎回思うことですが、自衛隊が防衛出動せねばならない事態は最終手段ですよね。憲法は紛争解決の手段として武力行使を禁じています。身を守る最小限の実力、と解釈されてきたようです。ですが、政府機関で最も憲法第9条に関連し、ある意味創設以来憲法第9条に守られて来た自衛隊の記念行事で憲法第9条に触れる機会がまったくない、ということが違和感なんです。
外交等により平和が続き、これら武器・弾薬が無駄になることこそ一番の願いなんだ、と誇りをもって語ってほしい。いつも、そう思います。