映画『夕凪の街 桜の国』
2004年秋に刊行され、2005年にかけて全国で話題になった『夕凪の街 桜の国』(こうの史代・作、双葉社・刊)が実写で映画化されました。7月21日広島先行上映を皮切りに、7月28日全国上映スタート。しかしながら、わが旭川では8月11日よりディノスシネマズ旭川で公開とのことで、8月6日に間に合わず残念ですが観にいきたいと思っています。
原作は「平成16年度文化庁メディア芸術祭・マンガ部門大賞受賞」ということでさらに話題になりましたが、そんなこと関係なしに、いまもなお続く原爆の惨禍を静かな筆で心の奥底まで届けてくれ、あらためて人間社会にとって核兵器は不必要だと教えてくれる秀作だと思います。
原作の単行本『夕凪の街 桜の国』は、3つの作品で構成されています。戦後10年目の広島が舞台の「夕凪の街」と現在より少し前の関東が舞台の「桜の国(一)」、現在を描く「桜の国(二)」です。「夕凪の街」の最後のページ(単行本34ページ)の次のページは空白ページです。私は単にページ繰りの関係と思っていましたが、こうの史代さんは「あとがき」で「このオチのない物語は、35頁であなたの心に湧いたものによって、はじめて完結するものです」と述べています。単行本34ページ目の最後のコマで描かれた主人公皆実の姿。人間が人間として小さな希望を抱いて生きたいと思う心をも蝕む原爆。では、あなたの人生は?あなたにつながる全ての人の人生は?あなたはどうするの?と皆実に直接問いかけられているようです。それへの答えを35ページ目に記憶させねばならないのです。こうの史代さんの静かなメッセージは、「どう生きるのか」を正面から突きつけました。
映画はこの問いかけをどう描いているでしょうか。単に作品としての秀逸さだけでなく、原作のもつ静かな、しかし強いメッセージとしての「問いかけ」を伝えるものになっているでしょうか。楽しみです。この夏、映画『夕凪の街 桜の国』を見て、原爆投下は「しょうがない」ものではなく、絶対に二度と行ってはならないことを心に刻みたいですね。
|
夕凪の街桜の国 著者:こうの 史代 |

最近のコメント