今年も駐屯地開放が行われました。正式には「第2師団創立58周年・旭川駐屯地開設56周年記念行事」です。私たちは日頃「基地開放」と呼んでいます。数年前から毎年見学に訪れていますが、今年も平和委員会青年部の仲間とともに見学してきました。ここでは見学記としての雑文と、そのなかで問題意識を感じた事案についての問題提起を記したいと思います。
観閲式
今年の観閲式での師団長の式辞と旭川市長の挨拶は、ほぼ去年の挨拶を踏襲した内容で目新しさを感じませんでした。師団長の式辞の最後に北鎮記念館についてふれられましたが、昨年のこの式典の日にOPENした同館は1年間で3万6千人の入館者があったと報告されました。旧館(年1万人)の3・6倍です。広報サイドからすれば大成果なのでしょう。西川将人旭川市長は昨年の挨拶で北鎮記念館を「動物園に次ぐ第二の観光名所に」と持ち上げましたが、その後この発言が旭川市議会で質問されるなど波紋を呼びました。一転して今年は北鎮の「ホ」の字もありませんでした。
■師岡英行・第2師団長
■西川将人・旭川市長
■旭川飛行場に並ぶ隊員たち
その後、観閲行進が始まりましたが、いわば軍事パレードです。ここでふと気づきましたが、去年は人でごった返していてパレードを見るのが大変だったのですが、今年は全体として隙間が多いと言うか人が少なめではないかと思います。感覚的なものではありますが。朝、小雨が降ったり、式典時も曇り空で天気も影響しているのでしょうが。
■96式装輪装甲車、1・2億円
■87式自走高射機関砲、13・7億円
■99式自走155mmりゅう弾砲、9・1億円
■90式戦車、8億円
一緒に参加していた福祉現場で働く仲間は、切り捨てられていく医療福祉と比べて、桁違いの予算が投入されている現場を目の当たりにして「腹立たしい」と一刀両断。この軍事パレードで走った全ての車両、いったい何億円が投じられているのでしょうか。そしてこれらの戦闘車両たちは、一度購入してしまうと使いまわし(目的外使用)ができない、という不便なもの。医療や福祉の現場では切り捨てられ、失われていく命が日々たくさんあります。それよりも、いつ使われるかわからない数億円する車両が何台も必要なのか?国民はその両者の実情をよく知るべきです。
訓練展示
いわば模擬戦闘。この筋書きは毎年同じなんでしょうかね。少なくともここ数年は変わっていないように思えます。敵の侵入部隊があって、これを検知し偵察。航空部隊が先行し、地上部隊を投入。相手を追い詰め退却させる、というような筋書き。
■援護射撃しながら・・・
■ホバリングしたヘリから・・・
■降下!
地上では自走155mmりゅう弾砲がまず砲撃。次いで74式戦車。
■自走155mmりゅう弾砲
■74式戦車
■敵役は機関銃で「反撃」
■装輪装甲車から隊員が展開
まあ、このような模擬戦闘のなかで空砲ですが何発も発射され大音量と衝撃でビビるわけです。衝撃で駐車場に停めた自家用車の盗難防止装置が誤作動するくらいです。近隣住民に聞いたら「夜勤明けだったのに眠れなかった(怒)」(旧春光六区)などの声がありました。戦車とかが出てくるたびに後ろにいるおばあちゃんが孫に「見て!カッコいいわねえ」と何度も繰り返し言っています。そう思って無くても、祖母にそう言われれば刷り込まれます。
同行したA・Rさんは「実際の戦場のあらすじで行われていた訓練展示、見ていて恐ろしくなっている後ろで『これ見たかったんだよねー!』。まるで戦争=人を殺すこと、なんだと感じていないんだなぁと。戦車や航空機の金額を実際に見ながら聞くと、ホントにムカついてきました。アメリカには無い優れた戦車が日本にあると聞き、そんな優れた技術や頭脳があるなら、今深刻な地球温暖化防止の為の何かを開発してほしいものだと思いました」と感想をおっしゃっています。
装備品展示
例年のように装備品展示には子どもを連れた親と軍ヲタ(軍事ヲタク)のみなさんがウロウロしておられ、私らも見学しました。
■90式戦車に乗る青年部員たち
90式戦車は後部に昇れるようにハシゴがかかっており、隊員がサポートしていました。ほとんど子ども達が親とともに昇って記念撮影していましたが、わが仲間達も列に並び昇りました。子どもが鉄帽子をかぶせられ、ピースしている姿は「自分の息子にはさせたくない」と思うのです。
■小銃をもつ子ども達
今年も銃器を市民に持たせるコーナーは人だかりができていました。そして小学校から中学校くらいの子ども達が次々と銃を手にしていました。上はその姿を撮影する師団広報担当者。彼らの手にかかれば、この姿はどう報じられるのでしょうか。
今年、私が楽しみにしていたのはRecsやFicsなどの通信システムの展示がどのように行われているかです。去年も展示されていたものの、あまり詳しく見なかったことと、去年は訓練途上でしたでしょうから今年の展示は一年間の訓練を踏まえ「充実」しているのではないかと予想していたのです。
■システム運用図
今回紹介されていたのは戦闘用システムでありながら、あくまでも「災害派遣」「災害対応」と紹介されていたのが印象的でした。すべての事例が「災害」から説明され、システムの本質は隠されたままです。
■指揮所でシステム説明会
運用の際指揮官らが詰めるクーラー付の移動型指揮所で、担当者による映像でのシステム説明会が行われていました。私も座って聞いていたのですが、今年2008年4月に上富良野町・美瑛町周辺で災害名目の大規模演習をやっていたそうです。道庁との連携、美瑛町役場での会議なども含め、新システムを運用しての実際の移動などやられたそうです。ところがこの説明会でハプニングがありました。演習のVTRの途中で電源が落ちてしまったのです。「お、何だ」と思ったら、何のことは無い入口付近のスイッチを子どもが悪戯してパチンと押してしまったので照明やプロジェクターが落ちたのです。現場では「プロジェクターが立ち上がるまでお待ちください」と待ちました。でもこれが戦場だったら、相手は待ってくれません。意外なところに落とし穴はあるものです。現場での電源(バッテリー)問題などが提起されてるのもそのためでしょうが、最大は人為ミスですね。今回もあんな誰でも触れるボタンを「触るな」とダンボールでも貼っておけばよかったのです。
■入力用端末
説明会後、隣に展示されていた現場で隊員らが入力する携帯用端末や無線システムの機材を見ました。三菱電機でしたね。実際の運用時は「NTTやドコモの携帯が使えなくても独自通信があるので司令部まで連絡できます」との説明でした。いわゆる公衆回線がダメになっても独自回線を保持できる、ちゅうことだと思いますが、現場ではNTTなどと協定を結び、戦時の演習をしていますよね。そのあたりはどうなんでしょう。聞き漏らしたので、来年聞きましょう。
■写真撮影コーナー①
その隣には大型ビジョンで自衛隊の広報。さらに子ども達に迷彩服や制服を着せて写真撮影するコーナー。海上自衛隊の担当者は水兵のような紙製の帽子を配りまくり。子ども達への浸透作戦は、これでもか、これでもかと推し進められています。
模擬店など、その他
子ども達のための楽しいイベントの工夫は模擬店などが行われていたグラウンドで最高潮に花開いていました。楽しかった記憶を持ち帰ってもらう工夫なのか、はたまた市民を招き入れるための工夫なのか。
■写真撮影コーナー②
あっちでもこっちでも写真撮影コーナーあり。親は携帯電話片手に撮りまくりです。今回、記念行事での写真を応募するコンテストも開催されるとあって、写真を撮る人(自衛官)も結構いました。
■フワフワドーム
■ストラックアウト
■グッズ売店
模擬店は例年と同じような雰囲気でしたが、今年は「ふき」「ウド」などの山菜の他に、「カブト」「クワガタ」「ザリガニ」などの生き物系が多かったような気がします。何ヶ所もありました。誰か斡旋している人(業者)がいるのでしょうか。ミリタリーグッズやオリジナルグッズ売店も何ヵ所かありましたが、上のような日の丸ドンドンの姿をみると意気消沈。タオルとか鉛筆とか何でも迷彩柄でグッタリしました。
「守る」というが、使う場所は?
一方で災害派遣を押し出し、自衛隊の存在意義を認めさせようとする。また一方では防衛を押し出し「悪い人」(師団長挨拶によれば、テロだけでなく横暴勝手な国家があるらしい)を倒す勇気の戦力、それが自衛隊だと言う。本当にそうなのか疑問です。
「守る」というものの、それらが実際に運用されているのは現在では海外ではないですか。ちょっと前までイラクでした。広報用のDVDを「あげます」というので貰ってきました。見ましたが、イラクでの陸自の活動をただ礼賛するだけ。自分達に都合の良い情報しか流していない。では帰国して自殺した隊員は?都合の悪いものは隠されてばかり。そして今度はアフガニスタンですか?
先のA・Rさんはこうもおっしゃっています。「実際の災害救助時の写真を見たりすると、純粋に人の役に立ちたいという人もたくさんいるんだろうなぁと思いました。そんな人たちで自衛隊の中から変わらないものかなぁ・・・などと思ってしまいました」。その通りだと思います。良くも悪くも、とにかく災害派遣を押し出し勧誘する自衛隊。その隊員らの純粋な気持ちを生かす場は、軍隊では無く「災害救助隊」などの非武装組織がよいのではないでしょうか。私たちは自衛隊の段階的廃止と、災害救助隊などの設置の同時並行により、解雇者を出さずして憲法9条完全実施というのも選択の一つとしてあり得ると考えています。
〈6月11日追記〉参加したA・Mさんの感想
基地開放を見学して、訓練練習の模擬戦闘の空砲の音が昨年以上に恐ろしく感じました。自分の中で戦争という足音が近づいてきているように感じているためでしょうか。まわりで、「かっこいい」と言う声が聞こえてくるのも、「戦争=死」ということが忘れられているような感じがし、やるなら、戦死者役や犠牲になる民間人までやればよいのに・・・それを見ても、「かっこいい」と言う言葉が出るのかな?と、思いました。
今年は初めて、小銃を持ってみました。意外と重くてビックリし、また、「これで、人が殺せるのだな」と、思うと小銃の冷たさが余計冷たく感じました。
そのせいか、災害救助の際の機材やお風呂などの設備や写真をみると、ほっとした感じがしました。
基地開放を見学して、戦闘車両に何十億も使うなら、もっと福祉などにまわして欲しいと思いました。また、自衛隊のある街だからこそ、自衛隊の全てがダメではなく、そこで働いている人たちを戦争の犠牲にしないために、自衛隊の内容を災害救助などに変えていくこと、憲法9条を守っていく事が必要ではないかと思いました。
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