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2008年8月25日 (月)

自衛官の「いじめ」自殺:初の国側責任認める判決

以下は8月25日付け毎日webからのニュース。

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〈自衛官自殺〉いじめ認定、原告側が逆転勝訴 福岡高裁

8月25日13時40分配信 毎日新聞

 海上自衛隊佐世保基地(長崎県佐世保市)の護衛艦「さわぎり」内で自殺した3曹(当時21歳)の両親=宮崎市=が「自殺は隊内のいじめが原因」と、国に2000万円の慰謝料などを求めた訴訟で、福岡高裁は25日、請求を棄却した1審・長崎地裁佐世保支部判決(05年6月)を変更し、国に計350万円の支払いを命じた。原告側の逆転勝訴となった。

 判決で牧弘二裁判長は、直属の上官が3曹を侮辱するような言動を自殺前の約2カ月にわたって繰り返した事実を認定したうえで「上官らの言動は違法で、自殺との因果関係がある」と述べた。父親に150万円、母親に200万円の賠償を認定した。自衛官の自殺を巡る訴訟で国の責任を認めた司法判断は初めて。

 1審判決によると、3曹は99年3月に同艦に配属され、同年11月8日、訓練航海中の艦内で首をつり自殺した。海自佐世保地方総監部は00年5月、「いじめはなかった」とする調査報告書を公表。両親は01年、調査結果を不服として提訴に踏み切った。

 1審判決は、上官らの「仕事ができんくせに3曹とか言うな」などの発言を不適切としながらも「いじめとは評価されず、指導・教育として、社会的に相当な範囲を逸脱するものだったとは言えない」と判断した。また、3曹が自殺当時にうつ病を患っていたと認める一方で「上官らが正常時の3曹の様子と比べても変化を認識することは困難。安全配慮義務違反があったとは言えない」と結論づけた。

 控訴審では、両親側が1審で任意提出を求め、国側が拒否した勤務調査表や指導記録などの一部文書を提出するよう命じた。国側は3曹の自殺について1審同様、「いじめが原因ではなく、自分の技能習得度が伸びず苦悩したため」と主張した。

 自衛官の自殺を巡る同種訴訟は横浜地裁や静岡地裁浜松支部で係争中。【松本光央】

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ここ数年、年間100名を超える在職自殺者がでている自衛隊。その自殺率は一般職国家公務員と比べても、一般17.1%に対して自衛官38.6%と(2005年度)、倍以上の高い率で発生しています。その原因は様々とされていますが、自殺した自衛官の周辺・背景は組織(防衛省・自衛隊)によって徹底して隠蔽されるといわれており、率直なところわかっていません。本件裁判でも防衛省が「技能習得度が伸びず苦悩」と説明しているのに対して、いじめが認定されたことからも明らかです。

自衛隊の場合、極度のストレスと暴力的肯定的な基本スタイル、階級社会(または経験主義社会)により弱い立場の自衛官がストレスの集中点になりやすいのではないかと、私たちもまた警告してきました。

これらは任務内容にも影響されると思われ、『週刊金曜日』8月8日・15日合併(714)号によれば、暴行を原因とした懲戒処分で全国ワースト1は旭川駐屯地だそうです(P82)。掲載データによれば2007年度の懲戒処分のうち暴行によるものが部隊内60件、部隊外24件あり、うち旭川駐屯地関係は以下のものがあります。

・2007.7.23/第2通信大隊/士長:23歳/部隊内/停職3日

・2007.10.3/第2特科連隊第1大隊/士長:20歳/部隊内/停職1日

・2007.10.3/第2特科連隊第1大隊/1士:22歳/部隊内/停職1日

・2007.10.17/第26普通科連隊(※)/2曹:34歳/部隊外/停職6日

・2007.11.6/第2師団司令部付隊/曹長:49歳/部隊外/停職10日

上記日付は公表年月日。ただし、10.17公表の第26普通科連隊2曹のケースは留萌駐屯地の部隊ですし、手元の報道記事でも留萌駐屯地所属隊員として報じられています(当ブログ2007.9.26記事参照)。ですから、旭川駐屯地在籍隊員暴行事件が5件だとワースト2位の板妻駐屯地(4件)を超えてワースト1ですが、情報を正確にすれば同数1位となります。それでも板妻は2事件4名であるのに対し、旭川は10.17公表事件を除いても3事件4名で発生数はワースト1間違いないです。

余談ながら、部隊外事件の後者2事件のうち10.17公表の事件は9月24日発生、25日新聞報道済みの事件、11.6公表の事件は9月23日発生、24日新聞報道済みの事件です。それぞれ処分決定までにそれだけの日数がかかっているようです。前者は停職6日に対して後者は停職10日。何が違うかは不明。

部隊内での2007.7.23公表事件が1週間の怪我を負わせ停職3日に対して、部隊外2007.10.17公表事件も1週間の怪我に対して停職6日。暴行の理由が加味されたのでしょうが、暴行の結果は同じに対し部隊外が重く処分されています。部隊内の事件は「指導」との線引きを曖昧にしやすく、「行き過ぎた指導」ということだと処分にも手心が加わるのではないかと推察します。それらは後で紹介する三宅勝久『自衛隊員が死んでいく』でも詳しく検証されています。

なお旭川駐屯地以外の第2師団関係の事例も以下に紹介します。

・2008.2.18/第4特科群(上富良野)/2曹:44歳/部隊内/停職18日

・2007.6.18/第2特科連隊(名寄)/2曹:36歳/部隊外/停職30日

第4特科群の事件は興味深いです。酒席とはいえ指導内容にからみ中隊長(上司)に暴行しています。部隊内の全暴行事件をみても上司への事件は2件のみ。上司への暴行をを容認するわけではありませんが、他すべての事件が後輩や少なくとも同僚など立場の弱いものへの暴行である一方で、中隊長といえば3等陸佐や1等陸尉など士官クラスが務める要職。それだけに上司への暴行事件は2件とも、他の事件より処分内容が重いように見受けられます。

第2師団は第一次イラク復興支援群の中心を担って以降も2007年度ではC4I2部隊実験を担うIT化実験師団として全陸自の先頭にたたねばならず、長期の演習も頻繁に行われていたそうです。そこでのストレスが結果、下のものに向かうとしたら辛いのは現場の隊員ではないでしょうか。

自衛隊は軍隊ではない。隊員の皆さんが守ると宣誓する日本国憲法の規定に基づきそのように考えるならば、「軍隊に暴力(私的制裁)はつきもの」と投げ出さず、組織のあり方に透明性を確保すべきですし、第3者による独立したチェック機関が必要ではないでしょうか。

この問題は今後も継続して追いかけます。

自衛隊員が死んでいく―“自殺事故”多発地帯からの報告 Book 自衛隊員が死んでいく―“自殺事故”多発地帯からの報告

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