« ブログ開設1周年、1万2千余アクセスに感謝 | トップページ | 政教分離問題で旭川市長西川将人氏宛「要望書」提出 »

2008年5月24日 (土)

夕張に「市街戦演習誘致」!?

今朝(2008年5月24日)の北海道新聞1面を見て驚きました。こんな記事が掲載されていたからです。以下、北海道新聞ウェブサイトから転載。

--------------------

夕張へ市街戦演習誘致を 住民移転、陸自に集落提供(05/24 06:35)

http://www.hokkaido-np.co.jp/news/yuubari/94645.html

【夕張】夕張市で、陸上自衛隊の対テロなどを想定した市街地戦闘訓練演習場を誘致する構想が浮上していることが二十三日分かった。山間部に分散する集落から候補地を選び、住民を市中心部に移転させた後、老朽化した元炭鉱住宅のアパートや民家を演習用に提供する内容で、六月中にも誘致期成会を結成する。

構想は夕張商工会議所(沢田宏一会頭)が中心に推進、藤倉肇市長も前向きに検討している。土地買い上げや交付税措置で財政再建や地域活性化への効果を見込むほか、分散している集落の集約化も図る狙いという。

陸自は全国五方面に一カ所ずつ、ビル三、四棟と道路などの模擬市街地を備えた訓練所を持ち、ゲリラ戦などを想定した訓練を行っている。道内も東千歳駐屯地にあるが、いずれも面積は校庭程度で、実物の建物がある広い演習場はない。

地元関係者が四月に防衛省陸上幕僚監部(東京)を訪ね打診した際、陸自側は「テロの脅威が世界的に広がる中、特殊部隊が訓練可能な場は国内に少ない」などと前向きな対応だったという。同会議所は近く誘致期成会の発起人会を開く。

演習場には国から周辺整備費も交付され、訪れる隊員の消費効果も期待できる。また、ピーク時に二十以上の炭鉱があった同市は南北三十五キロ、東西二十五キロの市域に集落が分散、市営住宅管理や除雪効率の悪さが財政再建の足かせとなっており、今回の構想で一部が解決できるという。沢田会頭は「可能性あるものはすべて誘致する覚悟が必要」と話している。

--------------------

上富良野演習場を見に行ったときも地元のコンビニや街角には「縮小反対」のステッカーやのぼりがありました。上富良野町商工会の作ったものです。

Kc330016 ■美瑛⇒上富良野の町界

Kc330166 ■某最大手コンビニの張り紙

商工会議所や商工会にすれば「自衛隊歓迎」なんですから財政難の結果いとも簡単に演習場誘致構想が出るのは「自然」なのでしょうが、周辺住民や移転を「強要」される住民にとってどういう意味をもつのか、ということを考えたことがあるのでしょうか。

ウェブニュースには掲載されていませんでしたが、この記事には別面に解説記事がありました。その記事によれば「演習誘致」の背景にあるのは、夕張再建のため市長がすすめる企業誘致がすすまない現状を反映している、というのです。市長公約であった大口誘致が実現していない以上、「国が誘致先を探しているような施設も受け入れなければ」(4月下旬の市長会見)と、とうとう市と商工界の合作でルビコン川を渡ってしまったということに他なりません。夕張商工会議所は演習場のみならず、刑務所・カジノ・産廃施設なども誘致方針に含めているとのこと。要は安易な市長公約のツケを住民が受忍させられるということでしょう。自分では言い出しにくいので商工会議所に言わせたのか?

このような姿、山田はどこかで見たことあるなーと思ったらマイケル・ムーア監督の「華氏911」ではないかと気づきました。「華氏911」ではイラク派兵の最前線でたたかう米兵の多くが若い州兵や新兵であることを指摘。過疎が問題となる地方都市では若者に仕事がなく、大学に行こうと思ったら軍隊に入るしかない現状と、それを口実に若者を勧誘する海兵隊のリクルーターの姿を取材しています。経済的に切実な状況を作り出し、札びら叩いて身も心も奪ってゆく姿に酷似性を感じました。

華氏 911 コレクターズ・エディション DVD 華氏 911 コレクターズ・エディション

販売元:ジェネオン エンタテインメント
発売日:2004/11/12
Amazon.co.jpで詳細を確認する

この事例、いくつの問題点があるでしょうか。不充分さはあるかもしれませんが以下にあげてみます。

(問題点1)住民の意に反する強制移転が行われる恐れがある。もちろん行政当局や商工会議所は「本人合意で」と説明するでしょう。しかし候補地となる場所の選定には当然自衛隊が介入するでしょうから(演習場予定地を選ぶのだから、自衛隊とすれば当然か)、行政の意を介さず純軍事的に好ましい場所を選ぶわけです。高齢化が進む夕張では、そういう候補地に住んでいる多くがお年寄りでしょう。昔からずっと住んでいて、「ここで最後まで暮らしたい」という思いで頑張っている人も少なくないはずです。しかし「ここに自衛隊の演習場をつくるから移転してほしい」と言われたら、公然と拒む人も出てくるでしょうがなかには「移転したくないが、夕張に迷惑をかけられない」と仕方なく受け入れる人もいるでしょう。拒む人は周囲から「あの人のせいで再建がすすまない」と後ろ指を差されることになるかも。住民団結で乗り越えるべき夕張再建に分裂要素を持ち込むこと。これこそが最大の問題点と指摘しなければなりません。

(問題点2)派兵型訓練である「市街地戦闘訓練」の固定化。そもそも市街地戦闘訓練所自体どうなのかと思います。この訓練は主として対テロなどと宣伝されていますが実際に米軍の市街地訓練の成果が運用されているのはイラクではないですか。日本国憲法の趣旨にも反する派兵型の訓練ではないか、と思うのです。また沖縄・金武町にある市街地戦闘訓練施設では同施設から発射された弾丸が民間住宅などに飛来し恐怖を広げています。集落すべてを演習場とするということは、そこは誰も入らぬ、誰も通れぬ空白地帯となってしまう恐れがあります。

P8200098 ■在沖米軍の市街地訓練施設

(問題点3)都市と地方の格差拡大、安易な軍事依存自治体の増加を招く。道東・別海町の前町長は自衛隊矢臼別演習場への米軍実弾砲撃訓練の移転に際し、積極推進策を打ち出し莫大な交付金を手にしました(手にしたのは町だが、それはどこに落ちたのでしょう?)。「毒を食らわば皿まで」で、自衛隊の演習を誘致した人々にとって、来る軍隊が米軍でもたいして変わらないということになります(自衛隊は賛成でも米軍は×、という人も当然いますが)。夕張を前例にしてしまうと、財政が悪化している自治体はどんどん軍事依存しようとするのではないでしょうか。

いづれにしても安易な決断をしてはいけません。住民の声を聞き、地方自治体の再建のあり方を示さねばなりません。みんなで心一つに頑張っている夕張は思想信条を超えて精一杯応援したい。しかし住民を犠牲にし、とにかく再建ありきと魂を売る夕張に、道民は手を差し伸べるでしょうか。

にほんブログ村 平和

|

« ブログ開設1周年、1万2千余アクセスに感謝 | トップページ | 政教分離問題で旭川市長西川将人氏宛「要望書」提出 »

NEWS紹介」カテゴリの記事

地方自治関係」カテゴリの記事

自衛隊」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« ブログ開設1周年、1万2千余アクセスに感謝 | トップページ | 政教分離問題で旭川市長西川将人氏宛「要望書」提出 »