2・11「建国記念の日」関連集会/参加報告
2月11日の「建国記念の日」に旭川で開かれた2つの集会にそれぞれ参加してきました。靖国派は「建国記念の日奉祝会」、政教分離派は「旭川2・11平和集会」。それぞれについて概略を報告します。
「紀元二六六八年 建国記念の日奉祝会」
ロワジールホテル旭川で開かれた実行委員会主催の同集会。事前宣伝で午後2時から式典があり、午後2時40分から講演があるとわかっていたのですが、都合の関係で2時40分に会場到着しました。ちょうど式典が終わったところで短時間の休憩。会場に入り後ろの方に立っていると目の前を制服を着た第2師団長・師岡陸将が「前の方が人が少ないから・・・」と談笑されながら通過される。おっしゃるとおり、会場は400席ほどでしたが入場していたのは320名~多く見積もっても350名くらいかと思います。
実行委員会の代表は日本会議上川会長で豊岡中央病院を運営する医療法人の理事長田下昌明氏。後で聞くところによれば、日本会議や隊友会などが中心となっている実行委員会のようです。街中に貼られているポスターの連絡先は隊友会旭川中支部事務局長さんの個人宅になっていましたので主力は両団体なのでしょう。そのことは式次第で開式・閉式の辞を隊友会関係者が行っていることからも推察できます。田下氏は当ブログ記事「防衛協力団体、とは?」でも紹介しましたが防衛親睦団体「北友会」の会長も務めています。第2師団の広報紙?ともいえる「北鎮」2008年1月号でも写真入で登場しています。
式典に参加できなかったのは失敗でした。左の式次第のとおり今津代議士をはじめ民主党の西川旭川市長、商工会議所の高丸会頭、第2師団の師岡師団長が式辞を述べることになっています。会場で配られたパンフレットには西川市長と今津代議士の「祝辞」も掲載されていますが、それぞれが何を述べたのか?聞いてみたいものでした。とくに西川市長については2007年の北海道護国神社慰霊大祭には「公務欠席」したものの、同年の西神楽招魂祭には代理出席をさせており、目立たないところでは「本籍自由党」の素地を隠していないとも言われています。
式次第では来賓紹介がありますが、来賓には先の4名以外に自民党道議2名、旭川市議会議長の民主党岩崎議員、陸上自衛隊幹部6名(これら幹部自衛官は北海道護国神社慰霊大祭にも特別来賓として出席していた)、神社宮司2名、旭川ペインクリニックの的場光昭理事長、他数名となっています。北海道護国神社慰霊大祭と同じように、ここでも政・軍・財の協力関係が浮き彫りになっています。
山田が参加したのは第2部:記念講演のところからで、講師は当ブログでも話題の佐藤正久参院議員。文民統制逸脱の「駆けつけ警備」問題は一時話題になったものの、すぐにメディアから消されてしまいました。演題は「私たちが守るべきものとは」として、60分の講演でした。講演は長く話した割には実質は大したことは言ってなく、テロ特措法に基づく海上補給活動について反対の世論が高まったのは「説明しきれていない」ためだと指摘。説明のために「自分は一年生議員ながら自民党HPのトップに丸川珠代参院議員とのインタビューを貼らせてもらった」「自民党はやる気さえあればできるんです」と批判世論のある自民党へのフォローも欠かしません。結局、「日本は石油がなければ困る」「インド洋警備は石油輸送で日本も恩恵を得ているのに、それまでやっていた燃料補給を放り出してしまった」と述べ、「国益のためにやらねばならない」と訴えます。国益のため、国益のため、といいますが、そこでは民主主義国家として憲法を守るという民主主義の保障は眼中に無い印象でした。国民は際限の無い派兵活動、法で歯止めがかけられない派兵活動に対しNOの民意を表明したのです。憲法に基づいてやれ、と国民が指示したのです。そのことをきちんと各国に説明すべきところを、「国益のために撤退は誤り」とただ根拠無く言う様はイケイケドンドンの先遣隊長“らしさ”でしょうか。
佐藤氏は民主党の「アフガン対案」については批判的でした。その点はさすが持論の「体制つくってから派兵」論者だなと思いました。民主党のアフガン対案では現地調査もせずに危険なアフガンに自衛隊を送ろうとしている、と指摘。ペシャワール会の中村哲さんを例に挙げ「あの活動のように特定地域で長年取り組めば信頼関係もできているでしょうが」、そうでないところにいきなり自衛隊や文民警察等を投入するのは危険すぎる、と述べていました。いま福田政権は派兵恒久法づくりのために民主党アフガン対案に積極的だと報道されていますが、いざ自民党が衆院で一転賛成することになったら佐藤氏は難と言いますか、注目したいところです。
佐藤氏は最後に、「国益を守っていくということをどう実現していくか」と問題提起し、そのためにはこのような精神が必要ですと、内ポケットから取り出した「とある文章」を読み上げました。「これは何かわかりますか」と会場に問うと、大きな声で「教育勅語!」との返答。そうだろうな、とは思っていましたが、あまりに彼らなりすぎる落としどころに興ざめしてしまいました。読み上げたのは教育勅語の現代語訳(←リンク先のものとほぼ同じと思います)でした。佐藤氏は「私がこれを読めば『軍国主義』と言われますが、どこが軍国主義でしょうか」「こんないいことが書いてある」と述べ論を閉じました。
この論調はまさに靖国DVD「誇り」と同じではありませんか。大切にすべきは国でありみんなの利益だといいながら、家族愛や兄弟愛、支えあいといった道徳を持ち出し、それが無いのが問題だと復古調の主張を繰り返しています。そもそも家族の団欒を奪ったのは過重労働や低賃金化ではあるまいか。それは自民党と財界の経済政策の結果ではありませんか。それにこの教育勅語の現代語訳ですが、結局のところ「非常事態の発生の場合は、真心を捧げて、国の平和と安全に奉仕しなければなりません」とし、それが「善良な国民」としての「当然の努め」であると結論付けており、これを子ども達に洗脳のように刷り込むことは軍国主義といわずしてなんであろうか、と思います。
旭川2・11平和集会
この日の夜、日本基督教団旭川六条教会において信教の自由と平和を願う人々により「旭川2・11平和集会」が開かれました。主催は同集会実行委員会。市内のプロテスタント教会を中心に準備されたものと推察します。
集会は日本基督教団旭川豊岡教会の筒井牧師が司会を務められ、冒頭に礼拝、第2部として記念講演という似て非なるものなれど構成は靖国派集会とおなじように進められました。集会には40名強が集まり、少数なれど自発的意思に基づく力強い意思と祈りがあったように思います。
礼拝では日本パブテスト連盟東光キリスト教会の松坂牧師が説教されました。続く講演では無教会主義の牧師活動をされている元軍医で医師の荒川巖さんが「クリスチャン軍医としての体験」と称して自身の経験を話されました。
荒川さんは海軍軍医中尉としてグアム・三重・台湾と勤務され、台湾で終戦を迎えられました。荒川さんによれば「海軍は陸軍と違って大らかだった」とし、「誰を尊敬しているか」と上官に問われたとき、本来なら「天皇陛下」というべきでしょうが「内村鑑三と矢内原忠雄と新渡戸稲造」と答えたと話し、上官は「お前、無教会主義か」と聞かれたものの特に罰はうけなかったことなどを紹介。「陸軍だったら大変だったでしょう」と戦前の陸・海軍の微妙な違いについても話されました。また軍医として兵士を治療すれば再び前線へ出て人を殺すかもしれない、との状況のなかで、「人としてあるべきことをしよう」「人を生かそう」と治療に専念したこと、終戦時に診察室を連合軍に明け渡した際もすべての医療機器・医薬品を整理して渡し「人を生かすために使ってほしい」と述べ連合軍から賞賛されたことなども紹介しました。
集会には旭川平和委員会青年部から4名が参加し、荒川さんの講演に耳を傾けました。
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