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2008年1月29日 (火)

第2師団のIT化実験の狙いと今後

20080124 陸上自衛隊第2師団は2007年から「師団等指揮システム」(Fics)、「基幹連隊指揮統制システム」(Recs)を導入し、いわゆるIT化実験師団として訓練を行っています。2007年だけでも7月、10月、12月に大規模な演習を行い、実用化に向けて訓練を重ねています。10月、12月の演習は防衛省研究本部と合同で行われており、演習結果を即反映できる体制がとられています。私達は地元旭川の第2師団がIT化していくことが、自衛隊のどのような変化につながっていくのかを注視してきました。

自衛隊準機関紙ともいえる『朝雲』1月24日号に日米の陸軍“サイバー化”について特集的な記事が掲載されました。以下、ご紹介します。

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記事では西側各国で整備がすすむ「サイバー部隊」のうち、日米の両整備状況に的をあてています。この「サイバー部隊」化の構想は1990年代など早くからあったものの、ここ10年位のIT技術の進歩のなかで具体化してきたといえます。イギリスでは1998年、フランスは1994年、ドイツも1994年に具体化がすすめられましたが、それぞれそのベースとなる構想は1970年代からあったようです。どの国のシステムも相互運用性が重視され、アメリカを含む複数の陸軍共同での演習が行われてきています。(参考:DRC2001年「欧州主要国陸軍のC4I2基盤の整備」中村暁氏・・・余談ながらDRCディフェンス・リサーチ・センターの研究委員の多くは元幹部自衛官であり防衛行政サイドの意向を反映していると推測されます)

記事中で対比紹介されているのは米陸軍の統合歩兵戦闘システム「ランド・ウォーリア」と日本の「師団等指揮システム」(Fics)と「基幹連隊指揮統制システム」(Recs)。日本は米「ランド・ウォーリア」を上回るとされる「先進個人装具システム」も開発中とのこと。日本のFics・Recsは現在第2師団に先行装備され2007年も幾度となく部隊実験が行われています。第2師団が全国のなかで一番練度の高い師団となるわけで、米陸軍との相互運用性を重視した場合、海外展開の最有力候補になることは明らかです。現在も北部方面隊が中央即応集団の国際任務部隊として指定されています。ではそれらの装備の特徴とは・・・。

20080124 米陸軍「ランド・ウォーリア」はヘルメットに装備された片目用ディスプレイに地図情報や部隊の位置情報などが表示され、これを確認しながら作戦を行うという個人装備。「情報優越」こそ戦闘能力の増大の要と開発されたそうです。具体的にはパソコン・GPS・通信機・各種センサー・電池などで構成され総重量7・2キロ。これを全身に装備し行動します。具体的にはこちらのサイトなどを参照ください。

この装備は現在、イラクの最前線で装備運用されており米陸軍第2歩兵師団第4ストライカー旅団戦闘団が運用しているとのこと。40度を超える気温、砂漠地帯の劣悪な環境の下で何が障害になるか、ということのようです。しかし最大の問題は重量だそうで、兵士が装備するその他の装具を含めると30-35キロにもなり、加えて武器・弾薬が加わり、兵士の負担が大きくなります。そのため戦場では「ストライカー」型装輪装甲車を拠点に展開するものの、現在の「ランド・ウォーリア」では長距離通信ができないため離れすぎると情報ネットにカバーされなくなる難点があるのだとか。

運用を担う兵士の間では「ネットで味方の動向を把握しながら作戦が行えるので心理的負担が減った」「声を発さずにメールで交信でき安全」というメリットの一方、「装備が重くてかさばり動きが緩慢になる」「武器を抱えて移動するのは大変」などのデメリットも報告されているとのこと。他にもバッテリー残量(バッテリー切れは最大の敵。一方で発電性繊維で戦闘服をつくることにより充電しながら戦闘が可能になる、との情報も・・・)、セキュリティー(日本の場合、民生用認証技術はここで軍事転用されることも)なども問題も残されています。

20080124_2 一方、日本のシステムについて「朝雲」はほとんど触れていません。まだ実験段階で紹介できないのか?と思いつつ、本格配備になっても防衛機密の高い壁に阻まれそうな気配です。記事では第2師団と防衛省技術研究本部の合同「C4I2」部隊実験を紹介。第2師団では遠軽の第25普通科連隊(25普連)に配備されているRecs。2007年10月から開始し、12月には25普連を基幹とする戦闘団を北富士演習場に展開させての総合検証を行っています。この間も25普連はRecsを運用しての春季演習場整備(上富良野・矢臼別、5月)や災害情報収集訓練(第2飛行隊と連携しヘリと地上で情報ネット構築)、紋別総合防災訓練の場を「活用」しての第2通信大隊と一体となってのFics運用訓練などを実施しています。

これらIT化装備は現段階では第2師団のみ配備されていますが、新年度は山形の第6師団にFicsが配備されることが決まっているようで、順次陸上自衛隊の各師団に配備されると推察しています。実際、Recs量産試験確認支援(開発実験団長が視察、5月)など、Fics・Recsの量産試験は進められており各システムの具体的な量産確認試験は富士通・NEC・東芝など主要電気通信関連会社と契約がすすめられています(防衛省HP「平成19年度公募契約予定品目一覧」等参照)。これらの配備にどれくらいの予算が必要なのか?現段階では詳しくわかりませんが、新たな金食い虫であることは明瞭です。

第2師団では師団独自に師団部隊実験演習を7月・8月などすすめているのと別に、技術研究本部と合同の前述「C4I2部隊実験」を行っていますが、その3回目は2008年2月に旭川駐屯地で行われることが既に明らかになっています。記事ではその目的を「厳寒の道北で電源の維持・確保など、システムの継戦能力もテーマとなるはず」としています。これら装備はアメリカが展開するどのような気候地でも対応せねばならず、その意味では寒冷地訓練は欠かせないでしょうが、いったい狭い旭川駐屯地でどのような演習を行うのか注視しています。

これらIT化は2007年6月の第2師団創立記念行事でも「災害派遣」の現場で活躍すると宣伝されていたことや、上記「紋別総合防災訓練」での運用など「災害」対応名目で浸透を図り、実際には米軍との相互運用性を高め海外任務で多用(運用試験)するのではないかと推察しています。このような派兵型装備の充実と予算化には危惧するとともに、イラク派兵時のように再び第2師団が先行投入されるのではないかと疑念を抱いています。

イラク派兵第一陣の結果、帰国後自殺者まで出した第2師団。他の帰還隊員のその後の心身の健康状態がどうなっているかという疑問には答えないまま、またもや旭川(道北)からの海外派兵を許してはならないと考えます。(正確にはイラク派兵後、ゴラン高原に隊員を出しています)。

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