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2007年8月24日 (金)

NEWS紹介/佐藤正久氏「駆けつけ警備」問題、実は陸自方針?

独自ソースがあるわけではないものの、話題の平和問題について備忘録的に各種NEWSを紹介する「NEWS紹介」コーナーを新設。第一弾は先の参院選で初当選を果たした佐藤正久氏がさっそく「問題発言」と巷で話題の「駆けつけ警備」問題。

まずは東京新聞8月17日付から事実関係と、弁護士ら有志による公開質問状についての報道。

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記事のPDFがよく見えないかもしれません(画像を拡大表示いただくか、プリントアウトすれば読めます)ので簡潔に紹介しますと、8月10日TBS系ニュースで放映された「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」の「駆けつけ警備」容認一致、とのニュースでのこと。そもそも、この「一致」自体が憲法違反ではないか、と思いますが、佐藤正久氏はイラク復興業務支援隊の初代隊長のとき、「(自衛隊を警護していたオランダ軍が攻撃を受ければ)情報収集の名目で現場に駆けつけ、あえて巻き込まれる」意思があったと述べたとのこと。さらに「巻き込まれない限りは(武器使用が可能な)正当防衛、緊急避難の状況はつくれない」「普通に考えて手を差し伸べるべきだという時は(警護に)行ったと思う」と説明。「(その結果)日本の法律で裁かれるのであれば喜んで裁かれてやろう」と話したとのこと。これを杉浦ひとみ弁護士ら有志の人々が「派遣決定を超えた行動」「文民統制無視」と批判し公開質問状を送付しました。公開質問状の全文等は杉浦弁護士のブログに詳しく紹介されています。

これに対し佐藤氏は「現場の実相を伝えたかった。議員になったのも現場と法とのギャップがあるなら、議論し、直すべき点は直すべきだと考えたから」と開き直り、さらに「オランダ軍には自衛隊の連絡官もいた。オランダ軍だけで攻撃に対応できないとき、人道的な観点から放置できないこともあり得た」と続けます。

この記事止まりでしたら「現場には現場の苦労があるなー」との印象も拭い去れず、問題の本質に迫りきれたかどうか疑問がありました。そこに切り込んだのが、さすが東京新聞「こちら特報部」。同紙8月23日付で次のような驚くべき告発を紹介しています。

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この記事によれば、前述の佐藤氏の発言とまったく同じ内容が、陸上自衛隊の研修会で使われている資料「武器使用権限の要点」なるA4版約90ページのなかで展開されているとのことです。報道されている同資料は2003年11月12日付であり、イラク派兵の直前のことでした。

資料には「(イラク)特措法の武器使用」という項目もあり、結局は佐藤氏の主張した「個人の思い」(東京新聞8月16日の取材)とまったく同じ内容の武器使用規定が綴られているとのことです。その上で東京新聞は、佐藤氏の発言は「実は陸自方針を代弁」していたのではないか?と指摘する弁護士の発言を紹介しました。これが事実だとすれば、大規模な文民統制違反が組織的に行われていたことを示しますし、仮に政府承認のもとでの方針であれば小泉政権の国民・国会に虚偽方針をしめしたことになります。どちらにしても大問題です。

この資料、全体の4割以上を占める「危害射撃の可否判断の具体例」約40ページがすべて黒塗りされており、今後の情報公開に期待がかかっています。

今回の事例で、文民統制というのは常に国民が監視せねば、現場レベルでなし崩しにされる怖れのあるもの、という歴史的教訓があらためて確認されたように思います。17日付記事では日中戦争の発端となった謀略「柳条湖事件」を例に挙げ同事件の立案者・石原莞爾関東軍参謀(当時)の「謀略により機会を作製し、軍部主導となり国家を強引する」との発言を紹介していますが、まさに現代の謀略戦が開始されているのかもしれません。

さてこの問題、下手をすれば「友軍を助けるべきか、否か」という水掛け論に陥りがちで、結果人道的には「助けるのが筋」との主張に与しやすいのでしょうが、前提を欠いた論争であることに留意せねばなりません。そもそも、日本国憲法第9条で戦力を保持しないと国際公約した日本が、実際上戦力である自衛隊を米英占領下のイラクに派兵したこと自体が根本の誤りなのです。実際、自衛隊が行った給水は、同時期に諸国の非武装NGOが行った給水に勝るどころか、自衛隊給水実績のかなりの部分が自家給水(自衛隊の煮炊き・洗濯・入浴等)であったとの指摘もあります。

このように「作られた前提」のもとでの「駆けつけ警備」は、それ自体が戦争国家への一里塚であることを知らねばなりません。本質を見抜く目と、それを支える報道。民主主義保障の前提です。

なお、当の佐藤氏は8月24日正午現在、自身のウェブサイトでこの問題については何も触れていません。

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