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2007年8月に作成された記事

2007年8月24日 (金)

NEWS紹介/佐藤正久氏「駆けつけ警備」問題、実は陸自方針?

独自ソースがあるわけではないものの、話題の平和問題について備忘録的に各種NEWSを紹介する「NEWS紹介」コーナーを新設。第一弾は先の参院選で初当選を果たした佐藤正久氏がさっそく「問題発言」と巷で話題の「駆けつけ警備」問題。

まずは東京新聞8月17日付から事実関係と、弁護士ら有志による公開質問状についての報道。

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記事のPDFがよく見えないかもしれません(画像を拡大表示いただくか、プリントアウトすれば読めます)ので簡潔に紹介しますと、8月10日TBS系ニュースで放映された「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」の「駆けつけ警備」容認一致、とのニュースでのこと。そもそも、この「一致」自体が憲法違反ではないか、と思いますが、佐藤正久氏はイラク復興業務支援隊の初代隊長のとき、「(自衛隊を警護していたオランダ軍が攻撃を受ければ)情報収集の名目で現場に駆けつけ、あえて巻き込まれる」意思があったと述べたとのこと。さらに「巻き込まれない限りは(武器使用が可能な)正当防衛、緊急避難の状況はつくれない」「普通に考えて手を差し伸べるべきだという時は(警護に)行ったと思う」と説明。「(その結果)日本の法律で裁かれるのであれば喜んで裁かれてやろう」と話したとのこと。これを杉浦ひとみ弁護士ら有志の人々が「派遣決定を超えた行動」「文民統制無視」と批判し公開質問状を送付しました。公開質問状の全文等は杉浦弁護士のブログに詳しく紹介されています。

これに対し佐藤氏は「現場の実相を伝えたかった。議員になったのも現場と法とのギャップがあるなら、議論し、直すべき点は直すべきだと考えたから」と開き直り、さらに「オランダ軍には自衛隊の連絡官もいた。オランダ軍だけで攻撃に対応できないとき、人道的な観点から放置できないこともあり得た」と続けます。

この記事止まりでしたら「現場には現場の苦労があるなー」との印象も拭い去れず、問題の本質に迫りきれたかどうか疑問がありました。そこに切り込んだのが、さすが東京新聞「こちら特報部」。同紙8月23日付で次のような驚くべき告発を紹介しています。

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この記事によれば、前述の佐藤氏の発言とまったく同じ内容が、陸上自衛隊の研修会で使われている資料「武器使用権限の要点」なるA4版約90ページのなかで展開されているとのことです。報道されている同資料は2003年11月12日付であり、イラク派兵の直前のことでした。

資料には「(イラク)特措法の武器使用」という項目もあり、結局は佐藤氏の主張した「個人の思い」(東京新聞8月16日の取材)とまったく同じ内容の武器使用規定が綴られているとのことです。その上で東京新聞は、佐藤氏の発言は「実は陸自方針を代弁」していたのではないか?と指摘する弁護士の発言を紹介しました。これが事実だとすれば、大規模な文民統制違反が組織的に行われていたことを示しますし、仮に政府承認のもとでの方針であれば小泉政権の国民・国会に虚偽方針をしめしたことになります。どちらにしても大問題です。

この資料、全体の4割以上を占める「危害射撃の可否判断の具体例」約40ページがすべて黒塗りされており、今後の情報公開に期待がかかっています。

今回の事例で、文民統制というのは常に国民が監視せねば、現場レベルでなし崩しにされる怖れのあるもの、という歴史的教訓があらためて確認されたように思います。17日付記事では日中戦争の発端となった謀略「柳条湖事件」を例に挙げ同事件の立案者・石原莞爾関東軍参謀(当時)の「謀略により機会を作製し、軍部主導となり国家を強引する」との発言を紹介していますが、まさに現代の謀略戦が開始されているのかもしれません。

さてこの問題、下手をすれば「友軍を助けるべきか、否か」という水掛け論に陥りがちで、結果人道的には「助けるのが筋」との主張に与しやすいのでしょうが、前提を欠いた論争であることに留意せねばなりません。そもそも、日本国憲法第9条で戦力を保持しないと国際公約した日本が、実際上戦力である自衛隊を米英占領下のイラクに派兵したこと自体が根本の誤りなのです。実際、自衛隊が行った給水は、同時期に諸国の非武装NGOが行った給水に勝るどころか、自衛隊給水実績のかなりの部分が自家給水(自衛隊の煮炊き・洗濯・入浴等)であったとの指摘もあります。

このように「作られた前提」のもとでの「駆けつけ警備」は、それ自体が戦争国家への一里塚であることを知らねばなりません。本質を見抜く目と、それを支える報道。民主主義保障の前提です。

なお、当の佐藤氏は8月24日正午現在、自身のウェブサイトでこの問題については何も触れていません。

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2007年8月13日 (月)

8月例会「靖国DVD『誇り』から考える近現代史」

8月例会を開催しました。会員外の方の参加も増え、いつもより多い会合でした。8月例会がテーマに取り上げたのは靖国DVD『誇り』です。正確にはDVDアニメ「誇り~伝えようこの日本(くに)のあゆみ~」となっていますが、私たちは靖国DVD『誇り』と呼んでいます。DVDに靖国神社の姿が描かれていますから、あながち間違いとも言えないでしょう。

2007051803_01_0 ■靖国DVD『誇り』

これは以前から当ブログでも紹介してきた、中学生むけに日本青年会議所が作成した思想教育教材ですが、世論の批判を受けて文部科学省の受託契約は結ばないことを表明していました。ただし今後は、民間教育運動として全国展開されるでしょうから、私たち自身、現物を見て研究しておく必要があると感じていました。

チャンスは突然やってきました。とあるルートで現物を所持している人からお借りすることができたのです。詳細は申せませんが、お骨折りいただいた関係のみなさんに感謝申しあげます。ということで、8月例会では靖国DVD『誇り』を視聴し、意見を述べ合いました。

●靖国DVD『誇り』の内容

あらすじは簡単です。17歳の高校生・中根こころが主人公。夏休み、内申書のために一週間の体験学習のため老人ホームへ行くが「ウザイ」と思う。そこで出会った近現代史を調べているという19歳の遠山雄太。ちょっとカッコイイ系男子。

P8050094 ■左・雄太と右・こころ

不自然にも雄太が語る近現代の歴史講話に「引き込まれ」(シナリオより)、夕暮れまで話が続く。体験学習が「ウザイ」なら、雄太の話も「ウザイ」ように思うのだが・・・。

P8050097 ■映像資料を多数使用

なぜか翌日も会う約束をするこころ。翌日も続く歴史講話。雄太が講話をしている間、画面は映像資料を流しているものの、原音はほぼ流されず一貫して雄太のナレーションですすめられる。それは歴史資料に都合の良い音を重ねたい、との印象をうける。ところでこころ、体験学習はいいのか?さらに翌日には靖国神社へともに参拝。

P8050098 ■靖国神社

P8050099 ■参拝する二人

「愛する自分の国を守りたい、そしてアジアの人々を白人から解放したい」と戦争の「大義」を説明し、方法論としては特攻作戦を批判しながらも戦争そのものを擁護する雄太に感情移入していくこころ。雄太は「日本人として過去に何があったのか正しい事実をきちんとした歴史で知ることは必要だよ。良くないのは、偏った見方で物事を判断したり、自分達にとって都合の悪いことに目をつぶることなんだよ」と述べるが、「正しい事実」とか「きちんとした歴史」は何をさすのか。「自分達にとって都合の悪いことに目をつぶる」のは誰なのか、雄太に聞き返したいところですが、雄太はそれを最後に老人ホームに現れなくなる。急に心変わりしたこころは田舎の祖母宅に行きたくなる。

P8050100 ■雄太おじいちゃん

P8050102 ■傘を渡すこころ

その仏壇前にたたずむこころ。仏壇には雄太の写真が・・・!それは戦争(特攻か?)で亡くなった祖母の長兄だった。最後の場面で雨宿りして困っているお婆さんに傘をさしだすこころ。「きっと伝えたかったことって、こういうことなんだよね―雄太おじいちゃん」と心で叫びながら走り去るこころ。で、終わり。

●近現代史教育プログラム

以上見てきた靖国DVD『誇り』は、単独で視聴されるものではなくコーディネーターと呼ばれる青年会議所スタッフによる解説付きで実施されることが前提になっています。コーディネーターが実際にプログラムの実施に際し手引きとなる「プログラムの進行」などの手引類、そのなかには事前準備と称して「近現代史検証報告書」「日本の誇り」なる独自資料も読むように、とされていますが、これらは青年会議所の手引書自身が「素読に、5時間程度は必要です」という膨大な内容です。これは日本青年会議所が数年間かけ調査した近現代史の研究成果だということですが、「だから歴史として正しい」という日本青年会議所サイドの主張には他者の言い分に耳を傾けない態度を感じます。

余談ながら、一部の識者からは「この事業は、青年会議所の末端会員に諸資料を読ませ『教育』することにも目的の一つがあるのだ」という意見も出されています。基礎知識なしでこれらを読み視聴させられれば、これが正しい歴史、として植えつけられることはあることで、そういう説も説得力をもってきます。

実際に教育現場で実施する際は以下の用に行われます。

対象は中学生以上30-40名を推奨。よって高校生や学生でも可、ということです。10人程度の小グループに分けさせる。全体の時間は約100分。①事前アンケート回収、②あいさつ、③靖国DVD『誇り』鑑賞(30分)、④歴史ポイント解説(小グループごと、45分)、⑤グループ発表(15分)、⑥「日本の誇り」説明(8分)、⑦閉会、⑧「誇りシート」記入(感想文)という流れです。各小グループにサブコーディネーターという青年会議所スタッフが入るので子ども達に直接丁寧に説明できる体制となっています。

⑦で説明される「日本の誇り」という文書は、冒頭に杉原千畝氏の「6千人の命を救ったビザ」と題した文章を紹介し、誇れる日本人を紹介するかのように進み、その後は全てアジアを解放した日本人、として各地の事例を紹介しています。

●参加者の声

参加者からは一様に驚きの声があがっていました。「何も知らずに見たら信じてしまいそうだ」「そもそも教育用プログラムに『霊の出現』という非科学的な事象を登場させるとは論外」「アジア、とくに中国・朝鮮半島の人々に何をしたのか・・・強制連行や従軍慰安婦など未だ解決していない問題もあるが全く触れていない」などの声が広がりました。そして、「具体的に事実に基づいて説明・反論できるよう、私たち自身も学習を深めよう」と話し合いました。

●日本青年会議所の今後の方針?

先日、とある地方の青年会議所公式サイトで以下のメールが転載紹介されていました。外部に広く公開されたものでもあるので、当ブログとしても転載いたします。

〔転載ここから〕--------------------

先般の会頭メールマガジンで発信させていただきましたとおり、今後の近現代史教育プログラムにおける運動方針については、2007年度社団法人日本青年会議所の事業計画に基づき、協働運動として全国各地の会員会議所に運動趣旨をご理解いただきながら、さらにこの運動が全国に広がるように鋭意推進していく所存でございます。つきましては、全国の会員会議所メンバーの皆様方からの、以前にも増すより一層のお力添えを頂き、社会変革をお越しうる力強い運動推進に邁進していただきたく、ここにあらためて心からお願い申し上げる次第です。
近現代史教育プログラムの協働運動を、2007年度日本JC会頭として皆様にご提案をさせて頂きこれまで全国のメンバーと共に運動を展開してきました。今もその決意に迷いは全くありません。全国の至る所で様々な反応があるという事実はまさしく我々が社会に問題提起をした内容が国民全体で解決せねばならない問題であるからこそ様々な反応を呼び起こしているのだと確信しています。
我々の提唱する近現代史教育プログラムの目的は、プログラム対象となる子どもたちに、我々が生きる日本という国が当時国際社会の中でどの様な国策を講じてきたのかを検証すると同時に、戦争という手段を選んだ国の国民が何を思い、何を大切にしようとして戦争の最前線に身を置き、命を賭けて戦ってきたのかを学ぶことを通して、日本に生まれ日本で生きる一人の人間として先人を尊び、自らがこの国の近現代史を真摯に学び自分の中で確かな歴史観を確立する必要性を見出すことを目的としています。
私たちが次世代に託すべき日本の素晴らしき歴史、精神性をこのプログラムを通じて伝えることで自然と心情から沸き起こる気持ち、本当の意味で国を愛する心が芽生え、「日本に生まれて本当によかった」と子どもたちに感じてもらいたいと心から願っています。
その感性こそが他国を大切に愛する心の醸成につながり、真の世界平和創造に繋がっていくことは疑う余地もありません。
今後、協働運動の主催者として、日本青年会議所からこのプラグラムをさらに推進するための具体的な提案をさせていただきます。こうした状況だからこそ、この時機を活かして今すぐに出来ることを提案させていただきますので、何卒ご理解ご協力をいただきますようお願い申し上げます。
またこれまでの経緯や、今後のプログラム推進にあたり、疑念や誤解をされないようにご説明をいただきたい点を下記に記させていただきましたのでご参照いただきますようよろしくお願い申し上げます。


~ 今後、本運動を推進していく為の具体的な提案 ~

まず、全てのJCメンバーにこのDVDアニメ「誇り」を視聴いただきDVDと本プログラムの内容を理解して頂く事が重要だと考えています。全国のメンバーが何時何処で誰に本運動の趣旨を聞かれても明確に答えて頂ける態勢を確立することで、この度の様々な誤解を解くことができ本運動を更に推進できるものと信じています。その上で次の具体的な提案を実施いただければ幸いです。

・ 各協議会で開催される会員会議所会議でのアニメ「誇り」の上映およびプログラム内容の説明会開催
・ 各LOMでのアニメ「誇り」の上映およびプログラム説明会の開催
・ 会員大会、フォーラム等での上映およびプログラム説明会の開催
・ 学校、教育委員会での上映およびプログラム説明会の開催

※ 近現代史教育実践委員会において、プログラムの説明等、開催の支援をさせていただきますのでどんな些細なことでもご相談下さい。


~ 日本JC 近現代史教育実践委員会としての対応 ~

47各都道府県の教育委員会にこのDVDアニメ「誇り」と近現代史教育実践プログラムの趣旨説明をするために訪問を予定しております。各ブロック協議会の連携推進委員会担当の方には、ご連絡をさせていただきますので、日程調整の上ご同行いただければ幸いでございます。


問い合わせ先 近現代史教育実践委員会 委員長 金子一夫

〔転載ここまで〕--------------------

このメールにもあるように、当面青年会議所内での上映をすすめながら(会員教育用だとの推測がますます鮮明に!?)、教育委員会や学校に働きかけていく、という方向性です。日本青年会議所はあきらめたわけでなく、民間運動として子ども達への影響を強めようとしています。文科省のお墨付きを掲げながらの学校展開はできなくなりましたので、それは一歩前進したとして、子ども達に「靖国参拝」を煽るような政教一致の思想映像を浸透させないよう、目を配る必要がありそうです。

さあさあ暑いね。みなさん揃ってクリックしましょ♪

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2007年8月 8日 (水)

西神楽「招魂祭」に西川市長が代理出席

西神楽地区戦没者慰霊奉賛会主催の「招魂祭」なる行事が2007年8月7日、旭川市西神楽2線15号の「神楽神社」で開かれました。この行事自体は西神楽地区出身の戦没者(確か聞き間違っていなければ)87名を追悼する行事で、私も慰霊の気持ちを捧げてきました。

Kc330071 左は神社前の国道沿いに張り出されている案内。次のようなことが書かれています。

「招魂祭のご案内

来る8月7日午前10時から神楽神社境内忠魂碑前において招魂祭を左記のとおり行います。多数の方々のご参拝をお待ち申しあげます。

一、慰霊祭 10時から

一、奉納余興行事 (1)剣道9時30分ごろ (2)獅子舞9時40分ごろ (3)詩吟9時50分ごろ

平成19年7月20日

西神楽地区戦没者慰霊奉賛会」

(注:漢数字を算用数字に直している個所があります)

Kc330052 この日、参道入口の鳥居両脇には「奉納招魂祭」の大きなのぼり旗が掲げられました。

Kc330055 余談ながら、こののぼり旗には「西神楽戦没者慰霊奉賛会」ではなく、「西神楽戦没者英霊奉賛会」となっています。昭和57年8月の記載がありますので、少なくともその頃まで奉賛会の名称は「英霊奉賛会」だったということですね。

英霊」の響きに微妙な心持になりました。「英霊」についてはwebフリー百科事典wikipediaの解説をリンクさせておきました。なかなか興味深い説明がありますのでご参照ください。

解説によれば「聖戦」に従事して死んだ兵士(正確には軍人・軍属等)を「英霊」とし、これを「顕彰」することは英霊を模範として「後に続け」と奨励することと「国家神道」の「教義」は教えている、と紹介しています。

Kc330057 左は慰霊祭の様子。部外者であろう私が、ノコノコと近くまで行くのは失礼かと思い、少し遠い場所から眺めていました。「忠魂碑」の正面両側に神職2名が向かい合って座り、司会者の進行に従ってすすめられています。参列者は20-30名くらいでしょうか。87名の戦没者の遺族にしては少ないな、と思いつつも、高齢化や諸事情から土地を離れた方もおられるかな、と。奉賛会長氏の挨拶を聞いていたら、参列のなかには「西川将人旭川市長」「北海道護国神社」の関係者のがあげられ、列席していることを忠魂碑に報告していました。あわせて旭山動物園の盛況ぶりなども報告され、神道の教えのとおり死後も鎮座する祖霊に対して報告しているかの如くです。

問題は旭川市長の列席です。見回せばそれらしき人物はいません。奉賛会長の次に「追悼のことば」を述べた西川市長は市職員による代読でした。内容はあまり覚えてませんが、平和な世の中をめざす、といった一般的なことを述べていました。代理出席者が誰であったかは不明ですが、ネームプレートをつけていたので市職員であることは確かだと思います。

規模は違えど、北海道護国神社慰霊大祭に代理を出席させるのと趣旨は変わりありません。神楽神社と護国神社では神社の成り立ちに違いがあり、宗教的な意味合いでは単純比較はできませんが、政教分離の観点から考えれば同じことです。

上川神社例大祭での「市民パレード」に続き今回の例。西川市長は護国神社慰霊大祭を回避すれば、あとは何とでも、と思っているのではないでしょうか。もう少し政教分離の問題については憲法の趣旨をよく汲み取って自身と市当局の運営にあたっていただきたいと考えます。

なおこの記事は、西川市長の代理出席による政教分離にかかわる問題提起をしていますが、西神楽戦没者慰霊奉賛会のみなさんの行事運営に何か申しあげているわけではありません。ただ、戦地で亡くなられた方々は様々な宗教・思想をお持ちでしょうから一般論として地域の戦没者追悼行事は無宗教で行われるのが相応しいと思います。市民委員会の会長さん(≒連合町内会長)という準公職の方が出席、挨拶する催しですし。

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2007年8月 1日 (水)

自衛隊員と「政治的活動」

7月30日付の記事「いわゆる『自衛隊票』はどう動いたのか?その思いは?」にて、自衛隊票についてマスコミ報道では60万余、と書きました。具体的には、例えばスポニチの記事では「現役の自衛官は約24万人おり、そのOBや家族、関係者を含め、佐藤陣営は『50~60万票は集まる』と話す。苦戦が予想される自民党にとっては願ってもない組織票だ」と書かれており、陣営サイドの読みだったと報じています。それを裏付けるのが、当選直後の万歳写真の後ろにかすかに見える選対事務所の横断幕。

20070730img_0007 〔左は佐藤正久氏のブログより転載〕

ここには「目指(せ?)60万票」と確かに書いてあります。やはりそれくらいを見込んでいたのです。

余談ながら、このスポニチの記事は各地の自衛隊施設での「講話」について「佐藤氏は陸自退職後の2月から、駐屯地を中心とした全国の自衛隊施設を飛び回り、イラクでの経験を隊員に伝える講演を行っている。表向きはその通りだが、実際は票集めの政治活動」ときっぱり書いています。これがフツウの見方ですよね。この点については7月13日付「“ヒゲの佐藤”氏『防衛講話』問題で防衛省から回答来る」をご参照ください。

しかしながら、「自衛隊票」の得票目標ではもっと風呂敷を広げている人がいました。社団法人日本郷友連盟副理事長の勝木俊知氏です。勝木氏は日本郷友連盟ウェブサイトで「防衛関係約100万票の票田」と述べています。ちなみに勝木氏は前回参院選で落選した3名の防衛関係候補について「候補者が全員元防衛官僚」=つまり制服組ではなく背広組だったことで「現役自衛官が選挙にある程度無関心」だったので、投票の際「政党名を記した」か、もしくは「棄権した」と考察しています。そういう側面もあろうとは思います。防衛関係者のなかでは前回参院選の総括の結果、「だからこそ制服幹部を」となったのでしょうね。しかしながら今回、佐藤氏に投じられた票数は既報の通り25万票余。勝木氏の予想のうち、「棄権」した現役自衛官の割合が高かったか、もしくは別の要因があることが明らかになりました。ぜひ更なる総括をすすめて発表していただければと思います。

さて今日のテーマは「自衛隊員と『政治的活動』」です。このことについて、勝木氏の書かれた文章(以下、勝木論文と略します)は興味深いことを述べられています。それは「政治的活動」とは何か?と、「教育」についてです。勝木論文では佐藤氏の立候補にあたり「前途ある1人の自衛官の運命が現役の全自衛官とOBに託されたのである。その負託に応える方策を考えてみたい」としていくつか述べています。

●自衛隊員の「政治的活動」とは?

以前も述べましたが自衛官は「服務の宣誓」で「政治的活動に関与せず」と誓約します。これがどの範囲までを制限しているかは難しいところと思いますが、この「服務の宣誓」によって「現役自衛官のみならずOBにも選挙アレルギーがある」「選挙も『政治活動』の一環として捉え」「触らぬ神に祟りなし」だと勝木論文で述べています。そして続けて「アレルギーを克服」するために「政治的活動」の内容と「選挙制度」への理解を「教育」すべき、と主張しています。勝木論文は「政治的活動」について「2・26事件や5・15事件」のような「国政を左右するようなクーデターまがいの活動や行動を意味する」とし、「国民一般の権利であり義務でもある選挙権の行使や、それに関連する活動を禁止するものではない」と述べています。なるほど、それはそうかもしれません。自衛隊員であっても国家公務員法が一般に規定している制約以上の制限をうけるのは憲法上どうなのか?と思います。同時に「選挙権の行使や、それに関連する活動」を認めるならば、それは政権与党に対する支持活動のみならず、野党とりわけ共産党や社民党などといった「反自衛隊活動」と情報保全隊が規定したような政党を積極的に支持する活動や、自衛隊のあり方に対して意見を述べるような表現活動をも含めて容認すべきです。なお当然ながら、民主社会を武力で破壊しようとする「クーデターまがいの活動」が禁止されることは当然と思います。

●自衛隊員への「教育」とは

その上で勝木論文は「選挙制度」のポイントを理解させ「棄権」しないように教育すれば、おのずと防衛庁関係候補者への個人名投票が集中し有利な状況をつくりだせると結論付けています。それは今回、あまり上手くいかなかったようですが、その「教育」について勝木論文の結びでは「朝礼、終礼、教育・訓練の合間などの機会をとらえ、選挙制度と棄権防止につき教育し、行動するならば、現役自衛官の選挙アレルギーも少しは解消されるのではないだろうか」と述べています。これは「選挙制度と棄権防止」について「教育」すると述べ、問題が無いかの表現をしていますが、実際にこのことが意味することは、自衛隊内部での公然たる「自民党支持拡大運動」に他なりません。

先日、記事の最後で少しふれましたが閉鎖された元自衛官によるブログ「猫に小判~自衛隊内部を滅多切り」では自衛隊の公職選挙法違反事例として「視認情報集め」と「機会教育」を紹介しています。以下は閉鎖後に同ブログのキャッシュを写真で撮影したものです。

P7230090

P7230091

これはグーグルのキャッシュなので、画像こそ残されていなかったのですが、実は別のサイトで「閉鎖」を見越してか、画像をダウンロードして残していた人がいまして拝借しました。画像を見ればこのブログの管理者が元自衛官であることが本当であると推測されます。以下が上から順に「機会教育実施記録」「視認情報綴り・表紙」「視認情報綴り・集計表」です。

E0069965_17555372 機会教育実施記録

E0069965_1891313 視認情報綴り・表紙

E0069965_1894379 視認情報綴り・集計表

これを見ると、どうもこの「視認情報綴り」が記録された自衛隊組織は北海道(「民主党・小林ちよみ」とか「共産党・ほっかい新報」とかの記述が根拠)みたいですね。

機会教育実施記録には、具体的にどういう教育をしたかは書かれていませんが、投票したら中隊に報告せねばならないことと、このような「教育」を既に3回行っていること、などがわかります。

その上で「教育をしたことがある」と述べる元自衛官氏が教育の内容について「自○党にいれろ」(まあ自民党でしょうね。自由党ではないだろうと推察します)だと証言していることは重い証言です。そしてまた、このことは先に述べた勝木論文で述べられている内容とも合致します。実際にこのような「教育」活動が行われ、「視認情報」ということで情報収集活動が隊員一人一人に指示されているとすれば、これは大問題です。情報保全隊に留まらない24万人の情報収集ネットワークが構築されている、ということです。今後、自衛隊内部からの改善によって真相が究明されることを期待します。

ただし、このように100%の投票率を誇っても実際にはあのような結果です。勝木論文で述べているように「政党名」か「棄権」か、または「他党」ということもあるでしょう。これは、どんなに「教育」したとしても、自衛官一人一人の良心までは縛りをかけられないことの証明のように思えてなりません。自衛隊が少なくとも海外派兵型、米軍追従型にならない、真に祖国防衛・災害救助のための民主的な組織であってほしいと願う自衛官が広がれば、自衛隊の「民主的改革」も夢ではないかもしれません。

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