8月例会を開催しました。会員外の方の参加も増え、いつもより多い会合でした。8月例会がテーマに取り上げたのは靖国DVD『誇り』です。正確にはDVDアニメ「誇り~伝えようこの日本(くに)のあゆみ~」となっていますが、私たちは靖国DVD『誇り』と呼んでいます。DVDに靖国神社の姿が描かれていますから、あながち間違いとも言えないでしょう。
■靖国DVD『誇り』
これは以前から当ブログでも紹介してきた、中学生むけに日本青年会議所が作成した思想教育教材ですが、世論の批判を受けて文部科学省の受託契約は結ばないことを表明していました。ただし今後は、民間教育運動として全国展開されるでしょうから、私たち自身、現物を見て研究しておく必要があると感じていました。
チャンスは突然やってきました。とあるルートで現物を所持している人からお借りすることができたのです。詳細は申せませんが、お骨折りいただいた関係のみなさんに感謝申しあげます。ということで、8月例会では靖国DVD『誇り』を視聴し、意見を述べ合いました。
●靖国DVD『誇り』の内容
あらすじは簡単です。17歳の高校生・中根こころが主人公。夏休み、内申書のために一週間の体験学習のため老人ホームへ行くが「ウザイ」と思う。そこで出会った近現代史を調べているという19歳の遠山雄太。ちょっとカッコイイ系男子。
■左・雄太と右・こころ
不自然にも雄太が語る近現代の歴史講話に「引き込まれ」(シナリオより)、夕暮れまで話が続く。体験学習が「ウザイ」なら、雄太の話も「ウザイ」ように思うのだが・・・。
■映像資料を多数使用
なぜか翌日も会う約束をするこころ。翌日も続く歴史講話。雄太が講話をしている間、画面は映像資料を流しているものの、原音はほぼ流されず一貫して雄太のナレーションですすめられる。それは歴史資料に都合の良い音を重ねたい、との印象をうける。ところでこころ、体験学習はいいのか?さらに翌日には靖国神社へともに参拝。
■靖国神社
■参拝する二人
「愛する自分の国を守りたい、そしてアジアの人々を白人から解放したい」と戦争の「大義」を説明し、方法論としては特攻作戦を批判しながらも戦争そのものを擁護する雄太に感情移入していくこころ。雄太は「日本人として過去に何があったのか正しい事実をきちんとした歴史で知ることは必要だよ。良くないのは、偏った見方で物事を判断したり、自分達にとって都合の悪いことに目をつぶることなんだよ」と述べるが、「正しい事実」とか「きちんとした歴史」は何をさすのか。「自分達にとって都合の悪いことに目をつぶる」のは誰なのか、雄太に聞き返したいところですが、雄太はそれを最後に老人ホームに現れなくなる。急に心変わりしたこころは田舎の祖母宅に行きたくなる。
■雄太おじいちゃん
■傘を渡すこころ
その仏壇前にたたずむこころ。仏壇には雄太の写真が・・・!それは戦争(特攻か?)で亡くなった祖母の長兄だった。最後の場面で雨宿りして困っているお婆さんに傘をさしだすこころ。「きっと伝えたかったことって、こういうことなんだよね―雄太おじいちゃん」と心で叫びながら走り去るこころ。で、終わり。
●近現代史教育プログラム
以上見てきた靖国DVD『誇り』は、単独で視聴されるものではなくコーディネーターと呼ばれる青年会議所スタッフによる解説付きで実施されることが前提になっています。コーディネーターが実際にプログラムの実施に際し手引きとなる「プログラムの進行」などの手引類、そのなかには事前準備と称して「近現代史検証報告書」「日本の誇り」なる独自資料も読むように、とされていますが、これらは青年会議所の手引書自身が「素読に、5時間程度は必要です」という膨大な内容です。これは日本青年会議所が数年間かけ調査した近現代史の研究成果だということですが、「だから歴史として正しい」という日本青年会議所サイドの主張には他者の言い分に耳を傾けない態度を感じます。
余談ながら、一部の識者からは「この事業は、青年会議所の末端会員に諸資料を読ませ『教育』することにも目的の一つがあるのだ」という意見も出されています。基礎知識なしでこれらを読み視聴させられれば、これが正しい歴史、として植えつけられることはあることで、そういう説も説得力をもってきます。
実際に教育現場で実施する際は以下の用に行われます。
対象は中学生以上30-40名を推奨。よって高校生や学生でも可、ということです。10人程度の小グループに分けさせる。全体の時間は約100分。①事前アンケート回収、②あいさつ、③靖国DVD『誇り』鑑賞(30分)、④歴史ポイント解説(小グループごと、45分)、⑤グループ発表(15分)、⑥「日本の誇り」説明(8分)、⑦閉会、⑧「誇りシート」記入(感想文)という流れです。各小グループにサブコーディネーターという青年会議所スタッフが入るので子ども達に直接丁寧に説明できる体制となっています。
⑦で説明される「日本の誇り」という文書は、冒頭に杉原千畝氏の「6千人の命を救ったビザ」と題した文章を紹介し、誇れる日本人を紹介するかのように進み、その後は全てアジアを解放した日本人、として各地の事例を紹介しています。
●参加者の声
参加者からは一様に驚きの声があがっていました。「何も知らずに見たら信じてしまいそうだ」「そもそも教育用プログラムに『霊の出現』という非科学的な事象を登場させるとは論外」「アジア、とくに中国・朝鮮半島の人々に何をしたのか・・・強制連行や従軍慰安婦など未だ解決していない問題もあるが全く触れていない」などの声が広がりました。そして、「具体的に事実に基づいて説明・反論できるよう、私たち自身も学習を深めよう」と話し合いました。
●日本青年会議所の今後の方針?
先日、とある地方の青年会議所公式サイトで以下のメールが転載紹介されていました。外部に広く公開されたものでもあるので、当ブログとしても転載いたします。
〔転載ここから〕--------------------
先般の会頭メールマガジンで発信させていただきましたとおり、今後の近現代史教育プログラムにおける運動方針については、2007年度社団法人日本青年会議所の事業計画に基づき、協働運動として全国各地の会員会議所に運動趣旨をご理解いただきながら、さらにこの運動が全国に広がるように鋭意推進していく所存でございます。つきましては、全国の会員会議所メンバーの皆様方からの、以前にも増すより一層のお力添えを頂き、社会変革をお越しうる力強い運動推進に邁進していただきたく、ここにあらためて心からお願い申し上げる次第です。
近現代史教育プログラムの協働運動を、2007年度日本JC会頭として皆様にご提案をさせて頂きこれまで全国のメンバーと共に運動を展開してきました。今もその決意に迷いは全くありません。全国の至る所で様々な反応があるという事実はまさしく我々が社会に問題提起をした内容が国民全体で解決せねばならない問題であるからこそ様々な反応を呼び起こしているのだと確信しています。
我々の提唱する近現代史教育プログラムの目的は、プログラム対象となる子どもたちに、我々が生きる日本という国が当時国際社会の中でどの様な国策を講じてきたのかを検証すると同時に、戦争という手段を選んだ国の国民が何を思い、何を大切にしようとして戦争の最前線に身を置き、命を賭けて戦ってきたのかを学ぶことを通して、日本に生まれ日本で生きる一人の人間として先人を尊び、自らがこの国の近現代史を真摯に学び自分の中で確かな歴史観を確立する必要性を見出すことを目的としています。
私たちが次世代に託すべき日本の素晴らしき歴史、精神性をこのプログラムを通じて伝えることで自然と心情から沸き起こる気持ち、本当の意味で国を愛する心が芽生え、「日本に生まれて本当によかった」と子どもたちに感じてもらいたいと心から願っています。
その感性こそが他国を大切に愛する心の醸成につながり、真の世界平和創造に繋がっていくことは疑う余地もありません。
今後、協働運動の主催者として、日本青年会議所からこのプラグラムをさらに推進するための具体的な提案をさせていただきます。こうした状況だからこそ、この時機を活かして今すぐに出来ることを提案させていただきますので、何卒ご理解ご協力をいただきますようお願い申し上げます。
またこれまでの経緯や、今後のプログラム推進にあたり、疑念や誤解をされないようにご説明をいただきたい点を下記に記させていただきましたのでご参照いただきますようよろしくお願い申し上げます。
~ 今後、本運動を推進していく為の具体的な提案 ~
まず、全てのJCメンバーにこのDVDアニメ「誇り」を視聴いただきDVDと本プログラムの内容を理解して頂く事が重要だと考えています。全国のメンバーが何時何処で誰に本運動の趣旨を聞かれても明確に答えて頂ける態勢を確立することで、この度の様々な誤解を解くことができ本運動を更に推進できるものと信じています。その上で次の具体的な提案を実施いただければ幸いです。
・ 各協議会で開催される会員会議所会議でのアニメ「誇り」の上映およびプログラム内容の説明会開催
・ 各LOMでのアニメ「誇り」の上映およびプログラム説明会の開催
・ 会員大会、フォーラム等での上映およびプログラム説明会の開催
・ 学校、教育委員会での上映およびプログラム説明会の開催
※ 近現代史教育実践委員会において、プログラムの説明等、開催の支援をさせていただきますのでどんな些細なことでもご相談下さい。
~ 日本JC 近現代史教育実践委員会としての対応 ~
47各都道府県の教育委員会にこのDVDアニメ「誇り」と近現代史教育実践プログラムの趣旨説明をするために訪問を予定しております。各ブロック協議会の連携推進委員会担当の方には、ご連絡をさせていただきますので、日程調整の上ご同行いただければ幸いでございます。
問い合わせ先 近現代史教育実践委員会 委員長 金子一夫
〔転載ここまで〕--------------------
このメールにもあるように、当面青年会議所内での上映をすすめながら(会員教育用だとの推測がますます鮮明に!?)、教育委員会や学校に働きかけていく、という方向性です。日本青年会議所はあきらめたわけでなく、民間運動として子ども達への影響を強めようとしています。文科省のお墨付きを掲げながらの学校展開はできなくなりましたので、それは一歩前進したとして、子ども達に「靖国参拝」を煽るような政教一致の思想映像を浸透させないよう、目を配る必要がありそうです。
さあさあ暑いね。みなさん揃ってクリックしましょ♪
最近のコメント