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2007年7月11日 (水)

「ヒゲの佐藤」氏“自衛隊ぐるみ”支援を「赤旗」が告発

当ブログ7月5日付記事「自衛隊が自民党参院予定候補を招き各地で防衛講話」で指摘した自衛隊による佐藤正久氏の組織的支援について、7月11日付「しんぶん赤旗」が社会面トップ扱いで告発記事を掲載しました。

P7110080 記事によると佐藤正久氏の自衛隊「ぐるみ」支援の体制は「佐藤まさひさを支える会」により構築されているとのこと。以下、記事から転載します。

こんな文書が部隊司令から隊員に「回覧」されています。「部隊長等各位」とあり、佐藤候補の決意、活動状況をつたえ、個人献金や「応援者の紹介」を求めたあと、こうあります。「正久を『タダヒサ』等読み間違えられるため、口座名を除き『佐藤』を漢字に、『まさひさ』を平仮名としております。ご了解下さい」。手の込んだ候補者名の駄目押しです」「回覧の冒頭には「司令」の印が押され、所属隊員名欄にサインが書きこめるようになっています。部隊関係者は「通常の業務で流されている」と言います。佐藤氏は、全国の駐屯地の体育館などに隊員を集めての「講話」に講師というかたちで連日のように立ち、全国二百五十の自衛隊施設中、二百カ所に足を運んで「票集めの斬りこみ隊長」(支える会役員)ぶりを発揮しています

これはどう読んでも国の機関である自衛隊による特定党派候補の支援活動であり、国家公務員法にも自衛隊法にも反する違法行為ではないかと思います。「思う」とかでなく、違法行為ですよ。この問題、7月5日の当ブログ記事掲載後、当会青年部長名で防衛省に対して質問状を送付しました。以下にご紹介します。

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防衛省・自衛隊 御中

私は旭川平和委員会というNGOで活動する者です。
以下の要望事項があり、貴殿に対し要望するものです。

2007年3月~7月4日までの間、各地の陸海空自衛隊駐屯地・基地等において「防衛講話」と称して、「今語るイラク派遣の真実」等の演題で元一等陸佐・佐藤正久氏が講演してまわっています。その詳細は佐藤正久氏本人の公式サイトの「活動報告」(http://www.mii.jp/blog/biz/index.php?catid=198&blogid=47)におい て、遡って確認できます。

ご承知のことと思いますが、佐藤正久氏は7月12日公示、7月29日投票の参議院議員選挙比例代表区において自由民主党の公認(予定)候補者となっています。現在、自由民主党東京都参議院比例代表区第62支部長の職にあります。

要望したいことは、私は政府機関である自衛隊が自民党公認(予定)候補を講師として招き650名とか700名とか多数の隊員に対して行う「防衛講話」の講師としてはふさわしくない、と考えます。佐藤氏のサイトでは「防衛講話」の主催者について明記されていませんでした。防衛省におかれてはぜひ調査頂き、仮に自衛隊の各級機構・部隊が主催となっている場合、これら「防衛講話」の即時中止を要望します。

仮に主催は任意団体であったとしても、会場として自衛隊の施設を提供することはふさわしくないと考えます。速やかに会場提供の中止を要望します。政府機関である自衛隊が、特定政党の候補者の氏名・顔・訴えを知らしめることに協力するかのような活動は軽挙といわざるを得ず、以後の善処を要望します。事実確認を踏まえ、趣旨説明も含めてご説明いただければと思います。

以上、要望します。

返答はメールまたは文書にてお願いします。
メール返送先 【メールアドレスを記載しています】
文書送付先 【住所を記載しています】

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この要望に対する返答は7月11日時点では何もありません。今後、防衛省から誠意ある回答を寄せられることを期待します。

●「佐藤まさひさを支える会」とは?

続けて「赤旗」報道は「佐藤まさひさを支える会」の自衛隊ぐるみ体制に、このような全国的な自衛隊「ぐるみ」支援を現実のものとする保障があるのだ、と「支える会」の体制について詳報しています。以下に当会の追加調査結果も付して整理してみます。

・会長 山本 卓眞氏(富士通名誉会長、日本会議副会長)

・顧問 歴代の防衛事務次官、統合幕僚会議議長経験者

・相談役 歴代防衛庁長官経験者

・代表幹事 元陸幕長(三菱重工に天下り)

・幹事 元幕僚長経験者(陸・海・空とも)など

・関東代表 今村 功氏(元東方総監)

・事務局長 奥村 快也氏(元陸自東北方面総監)

・遊説部 元陸自中部方面総監、元情報保全隊長(初代隊長、東芝に天下り)

・「支える会」本部 陸自5方面に対応した部に元方面総監、師団長経験者。海自・空自も元将官経験者を配置。内局(背広組)では元東京防衛施設局長。現場自衛官では若手自衛官の不祥事対策で設けられた「先任曹長伍長」経験者も。

また、茨城県隊友会下館支部臨時総会(2007年5月19日)では「審議議題」のなかで「(6)「政治連盟茨城県佐藤まさひさを支える会」の発足について他」との議題もあり、隊友会など自衛隊関係諸組織を基礎に各県レベルの「佐藤まさひさを支える会」が立ち上げられている様子も見られます。

●なぜ「自衛隊ぐるみ選挙」をするのか?

続けて「赤旗」は「自衛隊ぐるみ選挙」の動機について、自民党側の思惑と自衛隊側の思惑の「一致」がある、として次の関係者のコメントを紹介しています。

自民党が“ひげの隊長”として知名度の高い佐藤元隊長をかつぎだしたのは自衛隊員二十四万人と家族、OB票が目当て。さらに三菱重工から自衛隊グッズの土産店までいれれば三千社を数える納入業者の票は大きい。佐藤氏もイラク派兵時に十分な手だてもなく“戦場”にかりだされたことへの不満、要するに海外派兵するなら憲法も変え、十分に活躍できる装備や資金が使える本格的な派兵にすべきだという自衛隊・防衛省の言い分を国政に反映させるという思惑が一致した

安倍内閣の支持率は低迷しています。そのなかにあって久間元防衛大臣の原爆投下「しょうがない」発言での辞任、そしてそれをかばい続ける安倍首相。この姿に国民はあきれ果てています。彼らの脳裏には「自衛官とはいえ必ずしも自民党に投票するとは限らない」との焦りがあったのでしょう。これをまとめ上げてくれる“イラク先遣隊長”「ヒゲの佐藤」の知名度は、喉から手が出るほど欲しかったに違いありません。もしかすると、ここまで見越してイラク派兵時にマスコミ対策を行って「ヒゲの佐藤」効果を普及させたのかも?と疑いたくもなるほどの効果です。

一方で佐藤氏・自衛隊サイドとしては、法制面・予算面含めた「本格的海外派兵戦略」づくりの思惑です。しかし佐藤氏の「防衛講話」に動員される現場の一般隊員のみなさんは、そうなったときに真っ先に「敵」の銃口にさらされる方々。本当の祖国防衛ならまだしも、米軍追従の海外派兵のなかで大義もつかめずに断れず派兵させられることは本意でないと思います。「佐藤まさひさを支える会」という防衛省・自衛隊あげての「総力戦」組織の意をうけた佐藤正久氏に、その現場の声を汲み上げ、国会に反映させることは不可能ではないかと思います。

現場の自衛官のみなさんに申し上げたい。本当の祖国防衛の思いや郷土や家族を愛する心と、いま防衛省・自衛隊がすすめる「国際貢献」=私たちの言葉で言えば「海外派兵戦略」とは両立しないことをつかんでほしいと思います。みなさんが必死になって、ときには命を賭しての訓練は、米軍支援のための大儀なき石油目当ての侵略戦争のためにあるのではないのです。少なくとも専守防衛の大義のもと祖国防衛のためにあると、自任されていると信じたいのです。その大義のためには、自民党の参院戦略に乗せられるべきではないのです。

●メディアの役割

それにしてもこの問題、過日私たちも指摘していた問題ですが、背景にこのような自衛隊一体の選挙体制があるとは思いませんでした。その意味では表面に現れた問題の背後を取材し報道するメディアの役割について考えさせられました。他のメディアはこの問題、追いかけて報道するでしょうか?ぜひ地元北海道新聞にも掘り下げてほしいテーマであることを申し上げたい。

それにしても「しんぶん赤旗」は、情報保全隊内部文書を告発した共産党の機関紙だけあって問題意識の角度の鋭さに敬服します。そして自衛隊OBにも取材できているかのような取材力には、メディアとしての「力」を感じます。

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コメント

一応先行報道になるとおもいますが(当ブログより遅いですが)、スポニチの記事をみつけました。以下にリンク先をご紹介します。

「ヒゲの隊長『自衛隊票60万固い』」
http://www.sponichi.co.jp/society/news/2007/07/06/02.html

投稿: 山田 | 2007年7月11日 (水) 17時12分

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