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2007年7月13日 (金)

“ヒゲの佐藤”氏「防衛講話」問題で防衛省から回答来る

7月5日に送付した質問メールへの回答が、今朝、防衛省から来ていました。約1週間でのい回答、ですからまあ普通でしょうか。回答をいただいたことについてはありがとうございます、と申し上げます。それでは以下に転載します。

転載ここから--------------------

防衛省広報課です。

御質問の佐藤正久氏の「防衛講話」につきましては、佐藤氏がイラク人道復興等支援活動に従事した経験談を語っていただくことにより、自衛隊員の知識や教養を向上させるために行われたものであり、講話の内容に政治的な内容を一切含んでおらず、参議院選挙とは全く関係ない内容であることから、法令上問題があるとは考えておりません。なお、公職選挙法等に抵触しないよう、当然十分に配慮しておりますことを御理解下さい。

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  Ministry of Defense Public Information Dev.
      防衛省大臣官房広報課
    Mail : infomod@mod.go.jp
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転載ここまで--------------------

回答をみた第一印象は「まあ、そう言わざるをえませんね」ですね。ここで防衛省が「倫理的に問題でした」とか答えたら大問題になりますもんね。それではこの回答を検討してみたいと思います。

まず「防衛講話」の内容は「イラク人道復興等支援活動に従事した経験談」であり「政治的な内容を一切含んでおらず、参議院選挙とは全く関係ない」と述べています。講話の目的は「自衛隊員の知識や教養を向上させるため」であると述べています。よって「法令上問題があるとは考えて」ないし、「公職選挙法等に抵触しないよう、当然十分に配慮して」いるので、何も問題ありませんよ、という回答です。では本当にそうなのでしょうか?

私の手元に、とあるブログをプリントアウトしたものがあります。A4版で3枚。これはある地方の現役自衛官が自身のブログに書いた佐藤正久氏の「防衛講話」を聴講しての感想です。この感想から防衛省の「建前」とは異なる「防衛講話」の本当の姿が見えてきます。

当の自衛官氏を仮にAさんとしましょう。ブログのなかでAさんはこう述べています。「講話するのは参院選に出馬する元自衛官もといイラク第一次派遣隊ヒゲ隊長こと佐藤正久?だったかなで大方参院選に向けての演説でも…なんて思ってました」「クソ暑い体育館にぎゅうぎゅうで早くも居眠り続出の中講話は始まりました」。Aさん自身、本当は休みたかったみたいですが、休めず(業務として、なのか、上からの圧力で、なのかは不明)出席したと述べています。他の多くの隊員もそうなのでしょう。選挙動員されている建設業者さんと似た雰囲気ですね。そして防衛省がどう思うかは別として、現場自衛官には「参院選に向けて・・・」と受け止められているのです。そりゃそうでしょうね。

肝心の内容ですが、各地の講話タイトルが「いまイラク派遣の真実を語る」などとなっているようにイラク問題が語られています。それは防衛省の回答と同じですし、Aさんも「現場の真実」と述べています。佐藤正久氏が語る「現場」とはイラクの戦場に他なりません。

「講話」ではまずメディアの報道と現場の真実が違う、ということを述べます。日本のメディアは誇大報道をすると述べた上で、一番怖かったのは「町中の活動で周りの市民が突如ゲリラに変わる」ことだと述べたそうです。だから米軍があのような死者を出しているのだ、と。米軍の占領政策により人権も奪われ、普通に生活する自由もなくなったイラクの人々。公衆衛生のインフラが破壊されたまま、医薬品も入らず、外国NGOが医薬品を持ち込もうとすれば外国軍に規制される。そんな状況の中、子どもたちが感染症で死んでいく、結婚式をしていた人々が米軍機に誤爆され爆殺されるetc・・・。そんな状況のイラクにしたのは当の米軍です。その渦中に行くのですから、そういう不安があるのも当然でしょう。それは日本国憲法に違反して「日米同盟のため」「石油資源のため」と派兵されたからです。その「現場」=戦場を判断のベースにして佐藤氏は「現地での活動は自国でやってきた訓練などまったく役にたたなく頭を切り替えなければならなかった」「自分達がやってる規則的な訓練が本当はどうなんだ?実戦ではこうなんじゃないか」と疑問を呈し、そのために現場自衛官の声を出してほしい、と述べています。これは他者というより、「現場」に行った自分の声を聞け、ということに他ならないと思います。それは自衛隊の訓練基準を「戦場」におけ、ということ。それも日本を部隊とした祖国防衛のたたかいではなく、アメリカが展開する外国での「戦場」なのです。これは佐藤正久氏が参院選にあたり訴えていることと何ら違いません。そして、その実現のため「今現場の人の意見が通るような組織の体系を作りつつある」と述べたそうです。これは何を意味しているのでしょうか?2008年3月に新編される「中央即応連隊」を指しているのでしょうか。

またAさんによれば、イラク問題の後、「他にも自衛隊の体系や決まり事の是非や、いまの日本の憲法についてなど」にも言及したとのことです。「日本の憲法」についての講話内容が詳しく分からないので断定的なことは言えませんが、佐藤正久氏は7月12日に防衛省前で行った「第一声」で「集団的自衛権の解釈によって、友軍が倒れても助けることはできない。法的に問題があるが仲間はどんなことがあっても助ける。結果を出すのが現場だ」と憲法を“敵視”する発言をしていると7月13日付「しんぶん赤旗」で報道しています。これを踏まえれば、改憲を臭わす極めて政治的な発言があったとしても不思議ではありません。

Aさんはブログの最後で「自衛隊は外の一般企業みたいに何かを作るわけでもなく、収益をあげるわけでもなく、サービスを提供してるわけでもありません。でも今回の講話で自分の仕事にウンザリしてたけど、そんな風に考えてくれてた人もいたのがわかったし、いつか自分も国際貢献とか絶対いきたいって改めて思いました」と感想を述べています。これはAさんの本音だと思うのです。憲法と自衛隊組織の矛盾に悩む隊員たち。入隊の動機が純粋であればあるほど、任務に対して真面目であれば真面目なほど、悩みは増すでしょう。「訓練の結果を生かしたい」と思う気持ちもわからないではありません。佐藤正久氏をはじめとする自衛隊現元幹部たちは現場隊員のその気持ちにつけこみ、「国際貢献」の美名のもとに海外派兵させようとしています。むしろ国防は平和外交の意義を強調し、自衛隊は災害派遣・人命救助に特化した組織へと改組したほうが、どれだけ国民に愛される組織になるでしょうか?現職自衛官のみなさんに、ぜひ『君はサンダーバードを知っているか?』を読んで頂きたいと思います。そこで述べられた理念が、空想でなく現実にするもしないも国民の選択しだいなのです。

以上、佐藤正久氏の「防衛講話」と受講した隊員の感想を見れば、この「講話」が佐藤正久氏の政治的主張の場であると考えられ、投票依頼こそしてないでしょうが、防衛省の組織が主催する「講話」として相応しくないことを重ねて指摘します。

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