いわゆる「自衛隊票」はどう動いたのか?その思いは?
第21回参議院議員選挙が29日投開票されました。自公の与党勢力は大逆風で惨敗、と各メディアが報道しています。これは経済失政とともに、靖国派内閣による時代錯誤な「価値観押し付け」への批判もあると確信しています。安倍首相は辞任せず、内閣改造で乗り切るおつもりのようですが、改造内閣では靖国派の登用をいま少しお控えになられることをお勧めします。
ところで当ブログでも注目させていただいた元一等陸佐・佐藤正久氏は見事(?)当選されました。立場の違いは置いといて、まずはお祝い申し上げます。
当 佐藤正久 〈元〉陸上自衛官 新 251,579
ということで、25万票あまりを獲得なさったわけですが、これをどう見るか?というのが今日のテーマです。事前のマスコミ報道によれば自衛隊票は自衛官家族・出入り業者も含めて60万余、と書かれていたのですが、だとすれば42%しか獲得できていません。ちなみに、平成17年度末の自衛官定員と現員は、定員251,582人、現員240,812人です。定員を狙ったとすれば誤差3人というすごい読み。即応予備自衛官が8368人(平成18年)。現員+即応=249,180人で得票との差は-2399人。予備自衛官は47,900人いますが、これを加えると297,080人となります。さてここで、興味深いデータを。
左は2004年参院選のときの新聞記事です。全国紙だったと思いますが、どの新聞の何日付だったかは記録して無かったです。朝日か毎日ではないでしょうか?
この記事はなかなか興味深いことが書かれています。前回参院選では自衛隊票をあてにした防衛庁出身候補が3人出て現職候補も含め全員が落選した、というのです。記事では「省昇格に逆風」とありますが、これを小泉人気の余波で2007年1月に昇格させたのは記憶に新しいと思います。いまの「逆風」安倍内閣ならできなかったでしょうね。
記事では3氏が「防衛庁・自衛隊」「軍恩連盟全国連合会」「宗教団体」と支持団体を「棲み分け」していたものの、実際には限りある「自衛隊票」を食い合いしていたそうで、自衛隊票が3分されてしまった結果3氏とも落選した、ということが書かれています。ちなみに、3氏の得票は次の通りです。
月原茂皓 現 85,502
鈴木正孝 元 101,651
関 肇 新 105,308
3氏合計で292,461票となり、佐藤正久氏の得票と比べれば4万票も多いことになります。自民党の比例得票数は2004年が1679万余票で、今回2007年が1654万余票ですから、大きな違いはありません。
2004年に3氏落選の憂き目を見たので、今回関係者のみなさんは候補一本化を図り、むしろ一人で無党派層の比例票をザクザク稼げる候補、ということで佐藤正久氏の出馬と相成ったように思います。限られた固い組織票の配分を考えたときに、候補一本化は妥当だろうと思います。この点だけは功を奏しました。
しかしながら、佐藤正久氏の個人名得票25万余票というのはどうなんでしょうか?第一に、前回3氏の得票合計を4万も下回ったこと。第二に、現員+即応予備自衛官とほぼ同数であり、OB票や家族票、宗教票を考えれば現役自衛官での得票は少なくないものの、万単位で支持されていないこと。第三に、目標としていた60万には到底届かなかったこと。安倍「逆風」を考えてもシビアな結果といわざるを得ません。これは何を表しているのでしょうか?
現時点では憶測でしかありませんが、元イラク派遣先遣隊長を打ち出し、業務時間に「防衛講話」までさせて「イラク」を押し出したことがかえって不評をかったのではないでしょうか?平和憲法のもとでの強引なイラク派兵は日本社会に賛否の分断を生み出し、派遣隊員家族を強い不安の奥底に投げ込みました。帰国してからも派遣隊員の自殺は相次ぎ、旭川駐屯地所属自衛官も一人自殺されています。一部ネットでは事実かどうかわかりませんが派遣隊員の子どもさんへの放射線障害の報告まで出ています(これは本当に事実かどうか不明で、現段階では根拠ないです)。安倍靖国派内閣は「憲法を変えて自衛隊を自衛軍に」といいます。そして「集団的自衛権も」と。そんななか、自衛官ご本人でも、ご家族の方でも、「そんなん、まっぴらゴメンだ」という声が反映されたのではないでしょうか。ある意味で当然の気持ちだろうと思います。これだけは「教育」で「自民支持」を徹底したところで、しきれない部分が出て来るだろうと推察します。
今後、佐藤正久氏はバッチをつけて、国会を部隊に「主戦論」を唱えるのでしょうか?「現場の声を国政へ」といいつつ、戦場=現場で必要な装備も訓練も制度も実現しないと、戦場では役にたたないぞ、と。その流れをすすめるか否かは、国民が決めることです。
つい先日、元自衛官が書いたブログ「猫に小判~自衛隊内部を滅多切り」が突如閉鎖されました。ブログが開設されていた期間は、長く見ても10数日だろうと思います。ブログの最後の記事では「このブログは誰がやっているのか自衛隊では探しているでしょう。私個人として、このブログを閉鎖する気はありません。もし閉鎖したとしたら圧力がかかったものと考えて頂きたいと思います。平和な国であることを願っています」と述べられ、突如の閉鎖が「圧力」であることを裏付けています。(このブログによる告発内容は後日ご紹介します)。
元自衛官であっても言論を封殺されるほど自衛隊組織の「縛り」は厳しいのです。現役ならばなおのこと。(余談ながら、そんな中で人権裁判をたたかっている女性自衛官はよくぞ国を提訴したものだ、と思います。改めて勇気に拍手)。しかし、思いは秘めていても伝わりません。今回、佐藤正久氏に個人名で「投票しなかった」ことによって示した「思い」を、何らかの匿名手段で発信していくことは憲法に保障された表現の自由に含まれることだと思います。その「思い」が、私達の立場と一致しても、一致しなくても、表現の自由は全て保障されるべきです。


























































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