国会で自殺未遂した現役自衛官のニュースを読む
5月8日、信じられないようなニュースがウェブニュースに掲載されました。「陸上自衛官、国会議事堂敷地内で自殺図る」。最初はいま問題になっている自衛官の自殺増加の問題と関係あるニュースかと思ったのですが、続報により全容が明らかになってくると、そうではなく自衛隊・自衛官の右傾化に関わりがあると推測するようになりました。詳細は今後解明されるでしょうが、現時点での報道をまとめておきます。
まず第一報は次の通りでした。
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■〈陸上自衛官〉国会議事堂敷地内で自殺図る
8日午後9時40分ごろ、東京都千代田区永田町1の国会議事堂北門付近で侵入を知らせる警備システムが作動した。衛視が議事堂敷地内の正面階段に向け逃げる男を発見、追跡したが、男は階段の踊り場で短刀(刃渡り約20センチ)で腹部を複数回刺して自殺を図った。警戒中の機動隊員が男を建造物侵入容疑で取り押さえ、現行犯逮捕したが約1時間後に入院のため釈放した。命に別条は無いという。
警視庁麹町署などの調べでは、男は自衛隊体育学校所属の陸上自衛官(20)。制服姿だったといい、学校では射撃の選手という。家族にあてた遺書があり詳しい動機などを調べている。 〈5月9日午前1時18分、毎日新聞〉
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ほぼ同時刻の時事通信のウェブニュースによれば、この自衛官は「陸士長」だったといいます。数時間後の産経新聞ウェブニュースではこの自衛官が取り押さえられる際、「武士の情けだ、死なせてくれ」と叫んだと報じられています。そして時間の経過とともに、この自衛官の背後関係が明らかになってきました。第二報は産経新聞から。
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■自殺未遂自衛隊員が抗議文-福田首相の外交姿勢など批判
国会議事堂(東京都千代田区)に男が侵入し、刃物で腹を刺し自殺を図り未遂になった事件で、男が福田康夫首相の外交姿勢などを批判する抗議文を作成していたことが13日、警視庁公安部の調べで分かった。男が右翼団体幹部の名刺を所持し、遺書に「天皇陛下万歳」と書いていたことも判明した。
警視庁は同日、建造物侵入の現行犯で逮捕後に入院治療のため釈放していた埼玉県朝霞市、陸上自衛隊陸士長、鈴木田峻吾容疑者(20)を建造物侵入と銃刀法違反容疑で再逮捕した。
調べによると、鈴木田容疑者は福田政権の外交や経済政策に対する憤りと、若者に奮起を促す内容の抗議文をUSBメモリー(外部記憶媒体)に記録し、東京メトロ国会議事堂駅のコインロッカーに入れていた。鈴木田容疑者の供述に基づき発見し押収した。 〈5月13日午後1時33分 産経新聞〉
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やはり背後に右翼団体の影がありました。己の政治主張を実現するため刃物をもって国会に侵入し、示威行動のように腹を刺すなど民主国家ではありえないことです。実に重大な事態であることを指摘しておきたいのです。刃物が向かった先が自らの腹でなく、議事堂を歩く国会議員であったならば、訓練を受けた自衛官ならば犠牲者が出てもおかしくありません。逮捕された陸士長は2・5メートルの柵を乗り越え、国会議事堂に侵入しています。この行為が、「次はお前らだ」というメッセージを帯びていたならば、そのことに民主主義が屈したならば、日本は暗黒社会と化してしまいます。
一人、このような人物がいたとして「自衛隊の右傾化」とは即座に言えるわけではありません。実際に『自衛隊裏物語-みんなの知らない国防組織の真実』(後藤一信・著、basilico・刊、2007年8月)では「自衛隊員には主義や主張は必要ない。自衛隊内では、左翼だけでなく右翼も、実は浮いた存在なのだ」と述べられています。しかし一方で、先に報告しているように日本会議などが主催する宗教色、民族色の強い講演会に師団長以下制服自衛官が参加するような現状が現場にはあります。そのことを軽視することもできません。
この事件から想起するのはそれだけではありません。ここ一年弱の間に立て続けに起きている右翼団体の「抗議」活動を怖れた諸事例があります。日教組教研集会の会場利用を契約締結後の開催直前に拒否したグランドプリンスホテル新高輪の事例。同ホテルはいまなお自らの行為を詫びておらず、身勝手な言い訳を述べ続けています。続いて起きたのが映画「靖国」をめぐる靖国派国会議員の検閲介入に端を発した上映中止事例。前売り券まで販売し、上映直前だった映画館が右翼団体を恐れ上映中止しました。対象が政府となり、威嚇手段が変わりましたが構図としては同じような事例ではないでしょうか。
三島由紀夫氏の起こしたような事件が二度と起きぬよう、そして自衛隊によるクーデターなどが現実化せぬよう、自衛隊に対し憲法に基づく厳しい目をむけなければなりません。それが軍の意向に左右されない民主国家建設の道であります。その道の先には、自衛隊解散(山田としてはどの国でも即座に駆けつけ人命を救う国際救助隊を創設し、意欲ある旧自衛隊員の活躍の場としてほしいと思っています)が見えてくるのではないでしょうか。
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自衛隊裏物語-みんなの知らない国防組織の真実 著者:後藤一信 |



























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